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CRM戦略とは?顧客に喜ばれて業績を上げる方法をご紹介

人をピックアップする手

気づけば、顧客が他社に乗り換えていた。
今、新規顧客の獲得で苦しんでいる。

そのようなことはないですか?

新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストの5倍と言われています。既存顧客や接点のあった見込み客を大事にすることは、営業効率の向上や安定した売り上げのために必要です。

その実現のために、今CRMが注目されています。
当記事では、CRMを使ってどう戦略を立てればいいかをご紹介します。

CRMとは?

CRMとは、Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネージメント)の略で、日本語では顧客関係管理ともいいます。
顧客の情報や、顧客と自社の関係を管理する。そのことで最終的に売上を最大化するというのがCRMの考え方です。

CRMと名前が付いたもので、CRMツールとかCRMシステムといったものをお聞きになった方もいるかもしれません。
CRMツールやCRMシステムというものは、CRMの考え方をITで実装したものですが、概念としてのCRMもIT実装したCRMツールなども、同じくCRMと略すことが多くなっています。

当記事でも、考え方やツールを含めてCRMと記載しています。

CRM戦略とは?

顧客から売上をいただくために、顧客に向き合い顧客を軸に活動を組み立てる。その活動の組み立てがCRM戦略です。

言い換えると、CRM戦略とはどのような顧客にどう向き合い、どのような成果を出すかを考えるというものです。

CRMのツールを買ったからCRMツールを使って何かしようかと考える。そのようなCRMツールありきの戦略ではいけません。CRMツールを使って何をするかまでを考えて、CRMの施策を実践するように組み立てることがCRM戦略の基本なのです。

CRM戦略が求められる理由

CRM戦略が求められる理由はいくつかあります。最大の理由は、いいものを作れば売れる時代でなくなったということです。

ものを売るには、商品やサービスだけでなく、顧客のことや競合他社のことを今まで以上に考えなくてはいけなくなりました。その背景についていくつか紹介します。

顧客ニーズの多様化

今、顧客のニーズは多様化しており、多様化したニーズの分だけ商品も数多く出ています。

普段お使いの日用品を思い浮かべてみてください。同じジャンルの商品だけど、少しだけ特徴が違う。そのような商品が数多くでていて、その中で自分の好みにあった商品を選んでいるのではないでしょうか。

多様化したニーズ、つまり顧客ニーズを掴むことが、いい商品を生むポイントと言えます。

この顧客ニーズを把握するのに必要なことは、顧客の理解です。顧客のさまざまな情報を記録し、顧客とのやり取りを記録する。そしてその記録された顧客データを分析して、顧客を理解する。

顧客を理解する一連の流れを作るためにも、CRM戦略は必要なのです。

類似した商品・サービスの存在

顧客ニーズの多様化のところでも記載しましたが、類似した商品は市場にあふれています。
唯一無二の商品の方が少なく、市場には機能や性質は若干違うものの、たいして差がない商品が数多くあります。

また商品の開発スピードは上がっています。

今までにない切り口の商品が出てヒットしたとしても、すぐに似たような商品が出てくるのが今の世の中です。
新商品の展開が早い今、将来に渡って売り続けるためには、顧客に選ばれる会社であり商品でなくてはいけません。

顧客満足度を高め、自社商品を継続して購入いただく。そのためにも、CRM戦略が求められています。

市場の奪い合い

ご存知のとおり、日本は少子高齢化です。人口も12年連続で減少しており、この減少傾向は鈍化することはあってもしばらくは続くでしょう。

人口が減るというのは市場が停滞するということです。
停滞した市場の中では、新規顧客の獲得は非常に難しくなってきます。企業は安定した売上を上げるには、既存顧客から継続して売上をいただかなくてはいけません。

そのためには顧客のことを考え、適切な顧客管理のもと顧客に適切なコミュニケーションを取る。そのことで顧客との関係を作り、顧客満足度向上とともにファンになっていただく。

そのような顧客に対する戦略が必要で、言い換えるとそれこそがCRM戦略と言えるものです。

サブスクモデルの拡大

近年では、サブスクリプションモデルというビジネスモデルが広がってきました。利用しただけの費用を支払うというもので、音楽や映画といったBtoC向けサービスだけでなく、BtoBでもサブスクリプションモデルは増えています。

導入費用は安価かつ、利用料も月額1人いくらのような計算になっているため、顧客からすれば低コストで導入できるメリットがあります。
また利用しなくなればやめることができるので、サブスクリプションモデルは顧客からみてもリスクも少なく進めやすいものです。

このサブスクリプションモデルで売上を最大化するには、長く使い続けていただく必要があります。
そのためには顧客を理解し、適切に顧客に対してフォローしていかなくてはいけません。系統だてた顧客へのアプローチを行うためにも、CRM戦略は必要とされています。

過去のCRM施策の失敗

CRMは新しい考えではありません。

過去、顧客重視のアプローチをしようと、CRMツールを導入し運用してきた企業がいます。しかし、すでに取り組んで来た企業の中でも、なんとなくCRMツールを入れたという企業は、大半がCRM導入で成果がなく失敗しました。

それはCRMツールありきであったり、ただ目的もなく顧客情報を管理したりと、CRMをどのように活用していくかという戦略が無かったためです。

CRM施策を成功させるためには、CRM戦略をキチンと立てることが重要なポイントになってくるのです。

CRM戦略で実現できること

CRM戦略が求められている理由は、先ほど記載しましたが実現できることは何でしょうか。
BtoBの例でいくつか記載していきます。

見込み客から商談が創り出せる

一度商談をしたとしても、そこから受注まで至らない顧客は発生します。
特に高額な商品の場合は、商品の価値を理解してもらっても、さまざまな要因で一気に購入までいかないことも多くあります。

商談が前に進まず、1ヶ月、2ヶ月そして半年とずるずると商談が伸びてしまう。そして最終的には商談を放置する。そのようなことは多くあります。しかし放置した顧客に、間をあけて訪問したところ、競合の商品が入っていたということはないでしょうか。

米国のマーケティングコンサル会社シリウスディシジョンズによると「放置した見込み顧客の8割が、2年以内に競合から製品を購入している」という調査結果を発表しています。

商談が停滞した顧客を放置せず、適切なタイミングでアプローチができていればどうでしょうか。再商談へつなげられる可能性もあるでしょう。

また商談の結果失注したという顧客も同様です。失注顧客にも、適切な情報が届けられたら、再商談になる可能性もあります。

たとえば、機能が不足していたために商談が続けられなかった顧客には、新機能がでた際に再アプローチするのもありでしょう。価格の相違の場合は、お得感を訴求するキャンペーンも有効かもしれません。

停滞顧客、失注顧客とも、きちんと顧客の状況を理解し、適切なタイミングでアプローチできれば、商談を創ることができる可能性はあるのです。

既存顧客からのリピート購入が期待できる

新規顧客の獲得コストに対し、既存顧客の維持コストは1/5と言われています。

安定した売上獲得を考えた場合、コスト面で考えても、既存顧客から確実にリピート購入や取引継続をいただく必要があるでしょう。

CRMを使えば顧客を理解し、顧客に適切なアプローチが行えます。
アプローチ例としては、BtoCでは定期的に届く美容院のはがきでしょうし、BtoBでは現在利用している商品をより効果的に使う活用例といった、継続利用やアップグレードを促す情報提供などです。

顧客が商品を継続して使いたい、再度購入したいと思ってもらうために。また離反や休眠となるきっかけをつぶすために、CRMは有効な取り組みです。

顧客のロイヤルカスタマー化ができる

顧客が欲しい情報を適切なタイミングでアプローチすることで、顧客満足度を上げることができます。

顧客満足度が上がれば、商品やサービス、企業のファンにつながり、積極的に商品を使っていただけます。いわゆるロイヤルカスタマー化です。
ロイヤルカスタマーになると、競合商品を選ばず自社商品を積極的に選んでいただき、他の方に自社商品を勧めていただくことも起こります。

口コミや紹介は高い成約率が期待できますので、安定した売上を上げるには顧客のロイヤルカスタマー化は重要なポイントです。
ロイヤルカスタマーの育成には、顧客を理解した適切なコミュニケーションが必要ですので、CRMはその点でも有効な取り組みになります。

顧客視点の企画ができる

多様化するニーズの今、いいものを作っても売れるという時代ではありません。そのためにも商品企画は、顧客の視点を取り入れることが重要です。

なぜこの商品が売れたのか、また売れなかったのか。顧客が求めているものは何か、不満は何か。そのような顧客の声を記録し分析する。そのことで顧客ニーズは把握できます。

把握した顧客ニーズを、商品企画や商品のプロモーションに活かすよう組み立てること。つまりCRM戦略に則った施策を行うことで、顧客視点の企画ができていきます。

CRM戦略の進め方

CRM戦略を立てる際には、CRMツールありきで戦略を立ててはいけません。
この章では、CRM戦略を進めるための手順について、ポイントごとに説明します。

1.CRMを導入する目的を決める

まずCRM戦略を実施して、何を実現したいのかを考えてください。

具体的には、誰の何をどうするかを考えて、結果どういう成果を求めるのかです。

たとえば、失注顧客から再商談をいただいて売上を上げる、のようなことです。
また、既存顧客をロイヤルカスタマー化しリピート率を上げるということもあるでしょう。

どういう目的で顧客と向き合うか。そしてその成果は何なのかを定義しておきます。

2.CRMを導入し、期待する目標を決める

目的のところで、成果を定義すると記載しましたが、次にどれくらいの成果を目指すかを定義します。
はっきりとした定義ができない場合は、最終成果でなくても構いません。
対象顧客のうち、70%にコミュニケーションを取る、というような中間目標でも構いません。

ここで大事なのは、誰もが判定できる目標値にすることです。
たとえば顧客満足度を高めるというような目標は、実際に高まったのかどうかという判断ができません。

購入リピート率であったり、アンケート結果であったり、計測できる目標値にしておきましょう。

目標値があれば、成功しているのか、失敗しているのかを単純に判断できます。そのことで改善や運用のモチベーションアップにつながりますので、目標を決めておくというのは重要なことです。

3.アプローチする顧客セグメントを設定する

どのような顧客にコミュニケーションを取るかを検討するステップです。

コミュニケーションは1対1が理想ですが、店舗での接客でも無い限り実現はできません。多くの場合、1対多のコミュニケーションを考えることになります。
1対多のコミュニケーションを考える場合で重要なポイントは、可能な限り1対1に近いコミュニケーションにすることで考えることです。

そのために、顧客をセグメント分けするのです。

たとえば失注顧客に対してのアプローチするのであれば、失注理由ごとにセグメントが分けてみてはどうでしょうか。機能が足りない、価格が合わない、検討時期はまだ先、そのような失注理由ごとにセグメント分けするのです。そのことで、同じ失注理由を持つ失注顧客に対し、1対1に近しいコミュニケーションが取れるようになります。

顧客のセグメント分けは、どのような顧客にコミュニケーションを取るかで決めますが、現在の顧客管理方法では、セグメント分けに必要な情報が記録されていない可能性があります。たとえば失注理由ごとにセグメント分けする場合、失注理由が記録されていなければ不可能です。

ここで重要なのは、今の制約でできないから考えないのではなく、企業が行いたいことは何かで考えることです。CRMツールありきではいけません。

この先、CRMツール選定時に項目を追加する。追加できないなら代替手段を検討する。そのように対応していく必要があります。

4.コミュニケーションプランを設定する

顧客セグメントが決まれば、その顧客にどのようなコミュニケーションを取るかを考えます。
具体的な施策に落とし込んだ際には、実際に実施することを考えてコミュニケーションプランを作りますが、ここではあくまで大まかな部分で構いません。

自社には、このような顧客がいて、その顧客にどうやって情報を届けようか。そのためにはどのようなCRMツールが必要だろうか。そのような視点でのコミュニケーションプラン策定です。

簡単に下記に記しますので、参考にしてください。

どのような媒体をつかうか

顧客にコミュニケーションを取る媒体は、直接、電話、メール、DMなどがあります。

電話は繋がれば高いコミュニケーション効果が得られますが、反面繋がらないとコミュニケーションが取れない媒体です。
メールはとりあえず送っておくということができますが、メールを見るかどうかは顧客に委ねられています。
DMはコストがかかりますが、とりあえず誰かの目に触れるという媒体でもあります。

以上のように、それぞれのコミュニケーションツールには一長一短ありますが、一番重視するのは、その顧客に届く媒体であるかどうかです。コストだけで検討してはいけません。

どのような内容にするか

媒体とセットになるのが、内容です。
メールであればメール文章ですし、電話であればトーク内容です。

その顧客セグメントに刺さる言葉、というのはあります。どういう問いかけや情報であれば、目にとめてくれるのか、感じ取ってくれるのかを考えて内容を考えます。

特に、買う気が無い方に売り込みをすると嫌がられますが、逆に買う気があるのに、くどくどと商品説明をされると嫌がられます。

メールにしろ電話にしろ、この顧客はどういう情報を受け取ったら喜んでくれるかを考るようにします。

どのような頻度にするか

コミュニケーションでは、頻度も重要です。

さほど関係ができておらず購入の意思もない顧客に、頻繁に営業電話をかけるのはどうでしょうか。
逆に、日々課題解決の方法を探している顧客に、年に1回だけ情報提供するのはどうでしょうか。

頻度は顧客のセグメントと情報の内容によって決まります。
この顧客セグメントの方は、この情報をどれくらいの頻度で求めているのかを考え、コミュニケーションプランに入れていきます。

5.CRM施策に必要なツールを選定する

顧客に対してのコミュニケーションプラン案ができたあとで、プランを実装するためのCRM関連ツールを検討します。

大きく分けてツールには「顧客情報管理」の機能と「顧客とコミュニケーションする」機能の2つに分かれます。

顧客情報の収集・蓄積・分析をするツール

実際に顧客情報を管理するツールです。

一般にCRMと言われているツールですが、まず現在顧客管理しているツールで足りているかどうかを検証します。CRM戦略で立てた計画が実行できるのかどうかの視点で考えてください。

特に、コミュニケーションプランで考えた顧客のセグメント分けができるかどうかです。
失注理由別にセグメントを分けて情報提供し、商談を創るというのをCRM戦略として行おうと思った場合、失注理由が記録されていなければ、セグメント分けはできません。
まずは失注理由を記録する必要がありますが、今の管理項目に無い場合は追加する必要があります。

今の顧客管理ツールで追加できない、または追加すると使い勝手が悪くなるなどで実装できない場合は、別途CRMツールを検討してください。

CRMの選定にあたっては下記記事もご覧ください。

CRM

CRM(顧客管理システム) その機能と選定ポイントは?

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もし今お使いの顧客管理システムで機能が足りない場合、カスタマイズに費用がかかる場合などはぜひご検討ください。

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顧客とのコミュニケーションを取るツール

コミュニケーションプランのところで、コミュニケーションを取るためのツールは電話やメール、DMなどがあると先に記述しました。

CRMの中には、IP電話と連携して電話ができるシステムやメールの送信ができるものもあります。またDMの依頼を簡単に行うようなツールも出てきており、コミュニケーションプランの内容に応じて検討することができます。

ただ1点注意点としては、機能だけで決めないということです。

高機能なものは、運用開始までに時間がかかったり、不要な機能が多ごちゃごちゃして使いづらかったりということがあります。

使わない高機能ツールほど無駄なものはありません。

自社に合うものは何か?自社で使えるのか?本当にその機能を使うのか?費用にあった効果は出せるのか?

まずはその視点で判断してください。

施策を振り返る

施策を行った後、目的・目標に沿った成果が出たかどうかをチェックしてください。

しかしCRM戦略は短期間で成果を出すものではありません。中長期で成果を出すものです。
今、成果が出ていない場合、このまま運用していけば成果が出るのか?それとも出ないのか?それを見極め、微調整をしてください。

たとえば顧客セグメントを変えてみる、コミュニケーションプランを変えてみる、運用するチームを変えてみるなど微調整していくことで、将来の成果につながることが期待できます。

CRM戦略でやってはいけないこと

CRM戦略で重要なのは、顧客のために行うということです。
顧客のために行うということを意識することで、その結果再商談になったり、ロイヤルカスタマーになったりするものです。
 
売上を上げるんだ、という成果にばかり意識を向けると、単なる売り込みだけのコミュニケーションになりがちです。
不要なコミュニケーションが増えていけば、顧客満足度は下がっていきます。逆に有益なコミュニケーションが増えることは、顧客満足度を高めることにつながるのです。

またCRMツールありきのCRM戦略ではいけません。あくまでCRMツールは手段であり、目的はCRM戦略で決められたもののはずです。

CRM戦略で行いたいことを明確にし、そのためのツールをそろえるということが重要です。

まとめ:CRM戦略で重要なこととは

CRM戦略で重要なことは、顧客のことを考えたコミュニケーションを取ること。そして顧客の満足度や期待度を高めて将来に渡って売上をいただく、ということです。

そのためにも、顧客のことをより理解するような仕組みであったり、顧客へ適切なタイミング・内容でフォローできる仕組みであったりを考える。その仕組みを考えて実装するのがCRM戦略です。

安定した売上を上げるためにも、行き当たりばったりの施策にならないよう、ぜひCRM戦略を策定してください。

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