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業務改善とは?実施メリットと基本的/具体的手順・ポイントを解説!

少子高齢化による人手不足や働き方改革などにより、多くの企業が業務改善に取り組んでいます。業務効率化や生産性向上など多くのメリットもあるため、業務改善を自社でも取り組みたいと考える企業は多いでしょう。しかし、業務改善には進め方や注意点などもあり、事前に理解しておかなければ失敗に終わるケースもあるため、注意が必要です。

この記事では、業務改善の手順やポイントを具体的に解説します。実施に役立つフレームワークなどの実践的な内容も紹介するため、業務改善を進めたいと考えている経営者や人事担当者は、ぜひ参考にしてください。

業務改善とは?

業務改善とは、商品やサービスを生み出すために必要な資源のムラ・ムリ・ムダを省き、企業の利益や従業員の働きやすさの向上を図ることです。業務改善の、ムラ・ムリ・ムダは、以下のような状態を指します。

ムラ業務を処理する時間が、人によってバラバラである状態
ムリ人員に対して、業務量が多すぎる状態
ムダマニュアル確認など、必要のない業務に時間が割かれている状態

ムラ・ムリ・ムダが蔓延した状態では、モノ・ヒト・カネなど、必要な資源が無駄遣いされているため、企業にとっては不利益です。そのため、意識的に業務改善策を練り、ムラ・ムリ・ムダを削減する取り組みが必要です。

〇営業部門での業務改善例

例えば、営業部門で毎日顧客のもとへと計画を特に立てずに訪問するようなケースでは、計画を立てることで訪問効率を上げ、1日の訪問件数を更に多くすることも可能となるでしょう。顧客との接点を増やすことで、さらなる売上アップにつながります。「計画を立てること程度は、すでに行っている」という声も多くありますが、これはあくまでも一例です。日々行っている仕事を細かく整理していくことで、見えていなかった課題を発見するケースも後を絶ちません。

これまで意識していなかったことを、意識して少し立ち止まって考えてみると、意外に業務改善の必要と思われる仕事・業務は発見できるものです。

業務改善の必要性

業務改善が求められている背景には、さまざまな時代的要因があります。特に大きい要因が、少子高齢化による人手不足と働き方改革です。

市場全体で労働力が減っている中、企業は限られた人材で最大の成果を出す必要性が高まっています。そのためには、ムラ・ムリ・ムダをなくすことが不可欠です。政府が2019年より取り組んでいる働き方改革では、長時間労働の是正、公平な待遇の確保、多様で柔軟な働き方などが進められ、企業は適切な対応を取らなければなりません。

新型コロナウイルスの流行も、各企業の業務改善に拍車をかけました。テレワークをはじめ、非対面でも業務が完結するように見直しが進められ、従来の働き方を大きく変える企業は増えています。

業務改善と「業務削減」「経費削減」の違い

業務改善と似たような言葉には、「業務削減」と「経費削減」の2つが挙げられます。これらの言葉はそれぞれ、次のように定義できます。

〇業務削減

業務削減は、業務改善でいう「ムダ」の削減にあたり、今ある業務そのものを削減することを意味します。社員一人ひとりの業務を見直し、適切な業務削減を行うことで、社員の負担を軽減するだけでなく、他の重要な業務にリソースを充てることが可能です。

〇経費削減とは

経費削減は、光熱費・備品・人件費など、発生している経費を削減することを意味します。例えば業務削減によって社員の残業時間が減れば、光熱費や人件費がコストカットできるため、経費削減に繋がります。

ムラ・ムリ・ムダを省くことが目的である業務改善は、「削減」という手段だけでなく、人員配置や業務フローの見直しなど、削減以外の手段もある点がポイントです。

業務改善を実施する3つのメリット

企業が業務改善を実施するには、コストや労力がかかります。そのため、自社で取り組むべきかを決断する際には、業務改善によるメリットを事前に理解したうえで判断することが重要です。

ここでは、業務改善を実施することで得られる3つのメリットについて紹介します。

業務効率化

業務改善の過程では、不必要な業務や工程が見直されるため、業務が従来と比べて効率化するメリットがあります。特に設立から年月が経っている企業では、昔からのやり方を尊重するあまり前例踏襲の風潮ができ、業務効率化を無意識に避けているケースも珍しくありません。

例えば、会議資料を書面でやりとりしている内容は、オンラインでの共有を検討してみると良いでしょう。毎週または毎日行っているような定例的な会議が、そもそも本当に必要なのか、時間を短縮できないかを考えることも一例です。

業務効率化が実現すれば、1つの業務にかける時間や労力が軽減されるため、従業員のワークライフバランスを実現させやすくなるというメリットもあります。

生産性向上

生産性が高まることも、業務改善による代表的なメリットの1つとして挙げられます。業務改善の中でムラ・ムリ・ムダがなくなることで、限られた時間の中でより高い成果を挙げられるようになるためです。仮に従業員1人あたりの生産性向上の効果は小さいとしても、組織全体で見ると大きな効果となります。

生産性を高めるために業務遂行のプロセスが統一され、品質の安定化にもつながるため、サービスの質が向上することも利点です。ただし、本来必要な工程やコストまで削除されてしまうと、かえって品質低下を招いてしまうケースもあります。生産性向上と品質の安定化を両立させるためには、削除する内容が本当に「ムラ・ムリ・ムダ」なのかを吟味することが重要です。

コスト削減

経済的コスト・人的コストの両方を削減できるメリットもあります。業務改善の「ムリ」が見直されることで、自ずとその業務にかけていた経費が削減されるためです。例えば、これまで紙で配布していた会議資料をメールで共有すれば、用紙代や印刷代がかからず、印刷をするための人件費も不要になります。

さらに、見直した後の業務工程をマニュアル化すれば、人事異動などで各業務の担当者が変わっても、コストを削減できる状態を維持することが可能です。不必要な業務にかけるコストが浮けば、その分を他の重要な業務に充てられるようになり、適切な予算運用も実現します。業務改善によるコスト削減の効果は、企業に長期的なメリットをもたらすでしょう。

業務改善の実施に役立つ5つのフレームワーク

業務改善を進める際は、自社の課題などを踏まえながら論理的に取り組むことが大切です。フレームワークを上手に活用することで、課題を論理的に分析しながら、より効果の高い業務改善を進められます。

そこで次に、業務改善の推進にあたって押さえておきたいフレームワークを、5つ紹介します。

QCD

業務改善の効果を図るために着目すべきと考えられている指標が、「QDC」です。QDCとは、英単語の頭文字を取ったものであり、それぞれ下記を表します。

Q:Quality商品やサービスの品質向上目的の取り組みを評価する指標
C:Cost商品やサービスを作り出すための必要コストを測定する指標
D:Delivery商品やサービスの提供までにかかる時間を評価する指標

業務改善にあたっては、上記3つの指標をバランス良く考えることが大切です。例えば、業務工程を見直して「Quality」が高まったとしても、「Delivery」が大幅に増えれば生産性はかえって低下してしまうかもしれません。

いずれかの指標に偏ってしまうと、業務改善の結果、悪影響が生じる可能性があります。バランスが取れていないと感じた場合は、課題を洗い出したうえで、業務改善をやり直すことも必要です。

ロジックツリー

ロジックツリーとは、1つの問題を枝分かれするように分解することで、問題の要因や解決策を論理的に掘り下げる方法です。ツリー状に分解していくため、抱えている問題の全体像やキーワードごとの関連性を視覚的に把握できる特徴をもちます。

例えば、会議時間を減らしたい場合には「人手が足りていない」「意思決定に時間がかかる」「資料の読み込みに時間がかかる」など要因をいくつか書き出してください。さらに、「資料の読み込みに時間がかかっているのはなぜなのか」など深掘りします。この作業を繰り返していく中で、問題の根本にある要因を浮き彫りにすることが可能です。

バリューチェーン分析

バリューチェーン分析とは、事業活動を工程ごとに細分化することで、どの工程で付加価値が生み出されているのかを確認する方法です。自社の長所・短所を把握するためにも使われるフレームワークですが、業務改善にあたっては、価値が生み出される工程の把握に活用されるケースが多い傾向にあります。

例えば、少ない人手で大きい付加価値が生み出されている工程は、業務改善の必要性は小さいでしょう。一方で、人と時間をかけても付加価値が小さいのであれば、人手を減らしたり時間短縮を図るツールを導入したり、業務改善を図ることが求められます。バリューチェーン分析では、可視化しながら分析を進めるため、わかりやすく、共通認識が生まれやすい点が特徴的です。

BPMN

BPMNは、「Business Process Modeling Notation」の略称で、業務プロセスを図式化するフレームワークのことです。国際標準規格の「ISO19510」に登録されています。

1つの部署だけで完結する業務であればフローを把握することは難しくありませんが、多くの場合はいくつかの部門にまたがって業務が遂行されます。BPMNを活用することで誰が見ても同じように業務プロセスを認識することが可能です。可視化された業務プロセスのうち、どのプロセスでムダ・ムリ・ムラが生じているのかを判断することに役立ちます。

ECRS

ECRSは「イクルス」と読み、下記4つの要素から構成されているフレームワークです。

Eliminate(排除)不要な業務やルールなどを排除する。
Combine(結合)バラバラになっている業務をまとめる。
Rearrange(再整理)既存の業務内容を再整理する。
Simplify(単純化)業務をさらに単純化する。

ECRSは、上記4つの観点から意見を出し合うシンプルな活用方法であるため、業務改善に慣れていない企業でも取り組みやすいと言えます。

例えば「E」の観点から、何となく定例的に行われている会議を排除すれば、その分重要な業務に充てる時間が増えるでしょう。「S」の観点から、会議にファシリテーターを置けば、複雑化しやすい話し合いが単純化され、よりスムーズに進みます。

【8STEP】業務改善の基本手順

業務改善を実施する際には、まず基本的な手順に沿って計画的に進めることが大切です。業務改善の代表的な手順としては、下記の8つが挙げられます。

STEP1業務改善の目的を明確にする
STEP2行っている業務を洗い出す
STEP3可視化した業務から課題を抽出・設定する
STEP4設定した課題の施策を検討する
STEP5課題の優先順位を付ける
STEP6社内に周知・共有する
STEP7業務改善タスクを設定・実行する
STEP8実施した施策を評価する

ここでは、各ステップにおける取り組みの内容や押さえておくべきポイントについて、具体的に解説します。

STEP1:業務改善の目的を明確にする

まずは、なぜ自社で業務改善を行うのかを明確にする必要があります。「働き方改革が進められているから」のように、表面的な理由で業務改善を進めても、組織に好影響は生まれません。企業としてのビジョンを踏まえて、自社と従業員の成長につながる目的を設定することが重要です。

また、詳細は後述しますが、社内には多くの業務が存在するため、優先順位を付けながら業務改善を進めます。はじめに目的を明確にしておかなければ、後から優先順位を間違える可能性があるため、目標設定は時間をかけてでも丁寧に進めましょう。

STEP2:行っている業務を洗い出す

目的を明確にしたら、プロセスマップやスキルマップなどを活用しながら、現在行っている業務を洗い出します。業務内容だけでなく、担当する従業員や作業時間など、関連する要素も併せて列挙しましょう。

業務を洗い出す中で、現在抱えている課題が見える化されるため、全員が共通認識をもてるようになります。なお、業務改善の成功までには多くのステップを踏むため、課題が多すぎるとスムーズに進みません。効率的に進めるためには、この時点で不要だと感じた業務を、思い切ってなくすことも重要です。

STEP3:可視化した業務から課題を抽出・設定する

次は、洗い出して可視化した内容をもとに、課題を見つける作業です。日頃の業務の中ですでに課題として認識している内容はもちろん、今後課題となりそうな内容も抽出してください。業務ごとに感じる課題やその度合いは、従業員によって異なる場合があります。1人だけでなく複数の意見を取り挙げ、各自の認識を擦り合わせながら進めることが必要です。

課題を抽出したら、その中から業務改善に取り組む課題を選んで設定します。このとき重要なポイントは、「改善しやすく、効果が大きいもの」を優先することです。一口に「改善のしやすさ」と言っても、かかる時間やコスト、人員など、関連する要素はさまざまです。各要素を総合的に分析したうえで、改善のしやすさや効果の大きさを測定すると良いでしょう。

STEP4:設定した課題の施策を検討する

課題が浮き彫りになったら、どのように解決するのか施策を考え、必要に応じて業務改善計画を作成します。最適な施策を設定するために、1つの考え方にこだわらず、様々な意見を自由に出し合いましょう。

解決策を考える際に重要なポイントは、対策自体が物理的に不可能な内容や、莫大なコストがかかる内容は、除外していくことです。負担が大きい内容を優先すると、業務改善が進まなくなってしまいます。例えば、人員不足を解決したい場合、求人をかけたり人事異動をしたりと、経営者による判断や大きなコストが必要となります。

特に業務改善を初めて行う場合は、スムーズに進むかどうかを重視し、取り組みやすい内容を優先することがおすすめです。

STEP5:課題の優先順位を付ける

業務改善にあたっては、これまでのプロセスや取り組み方を変更するため、コストや労力がかかります。そのため、すべてを同時に実行することは難しく、仮に実行できたとしても、それぞれの成果が小さくなってしまうでしょう。改善すべき課題に優先順位を付けたうえで計画的に進めることが、業務改善の成功を左右する要素となります。

優先順位を付ける際は、課題を設定したときと同様に、「改善しやすく、効果が大きいもの」を優先することがおすすめです。短期間で企業へ好影響がもたらされることに加え、効果を実感しやすくなれば、従業員のモチベーションアップにもつながります。

STEP6:社内に周知・共有する

業務改善に取り組む内容が固まったら、実際に取り組む前に、社内へ周知・共有して理解を得ます。共有がないまま業務内容を変えてしまうと混乱を招くため、業務改善の内容やスケジュールをなるべく具体的に伝え、必要に応じてマニュアルも準備することがおすすめです。

なお、この段階で従業員から反対意見が出る場合もあるでしょう。反対意見をもつ従業員には、業務改善を行う目的や想定される効果を丁寧に説明し、自社や従業員にとっての必要性を理解してもらう必要があります。

STEP7:業務改善タスクを設定・実行する

改善策がまとまり、社内への周知も完了したら、業務改善に必要なタスクを設定してください。できるだけ具体的かつ細かくタスク化することで、業務改善の確実性は高まります。

タスクを設定したら、事前に設定した優先順位のとおりに、実行に移します。タスク実行中はPDCAを繰り返しながら、取り組みが効果に結びついているかを確認してください。PDCAを回すことは、効率的な業務改善にもつながります。また、実行している最中も、定期的に経過を観察しながら、目的から外れている場合には軌道修正が必要です。

STEP8:実施した施策を評価する

業務改善を実行したら終わりではありません。進捗状況や改善による効果、組織への浸透度などを把握するために、KPI(重要業績評価指標)などを用いて評価することが必要です。想定していたような効果が出ていない場合には、何が不足していたのかも明らかにしましょう。

なお、実施途中で気が付ければ良いのですが、評価後に「最初に立てた計画が不十分だったかもしれない」など、これまでの過程に問題があったと認識する場合もあるでしょう。これまでの過程が不十分だった場合、そのままでは業務改善の効果は期待できません。労力や時間はかかるものの、場合によっては、思い切ってこれまでの過程をやり直す判断も必要となります。

業務改善のよくある失敗例

業務改善に向けて何らかの策を講じれば、必ずしも成功するわけではありません。当然

、適切なやり方を実行できていなければ、思ったような効果を得られないまま終了してしまう可能性もあります。

可能な限り業務改善を成功に導くためには、よくある失敗例を参考にすることもおすすめです。ここからは、よくある業務改善での失敗例をいくつか紹介します。

強制的に仕事のできない環境を作る

「働き方改革」でよく言われる課題の残業の削減ですが、経営者から残業をなくすように指示をされ単純に残業が悪のように、強制的に残業をさせないようにしている企業もあります。就業時間が終了するとパソコンなどを停止させ強制的に仕事ができない環境を作ってしまうケースです。

強制的に出来ない環境をつくることで、現場が業務の改善・効率化を考え仕事のやり方を工夫してくれればいいものの、なかなかうまくはいかないでしょう。結果として、残業ができないために休日に出勤したり、家で仕事をしたり、朝早く出社して仕事をしたりと結局現場に負荷がかかる可能性があります。

業務改善は、「成功したから、結果的に残業がなくなった」という形になるような取り組みが必要になります。本来の目的を忘れないよう、適切な環境をつくりましょう。

現場任せになってしまう

業務改善を目的に、「社内における業務課題の洗い出しからスタートして、発見した課題はのちに現場で解決するように」といった指示だけで終わってしまうと、なかなか改善は前に進みません。ただでさえ日々忙しい現場業務の中で、プラスして業務改善を行うことになるため、どうしても業務改善の優先順位は下がってしまいます。

このように、「号令だけは相当に、あとは現場に丸投げ」といったやり方は、業務改善が一向に進まない原因の1つになります。そのため、進捗や結果まで会社として管理していくようにする必要があります。

業務改善を進めるなら「トヨタ式」を参考にすることもおすすめ!

業務改善の進め方として特に有名な手法の1つに、「トヨタ式」があります。トヨタ式とは、トヨタ自動車株式会社が製造過程におけるムダを排除し、現場の作業効率と生産性向上を実現するために編み出した生産方式です。一般的には製造業で活用されているものの、内容を理解すれば異業種への応用も可能です。

トヨタ式では、下記7つのムダを削除することを、基本理念として掲げています。

加工のムダ在庫のムダ造りすぎのムダ手持ちのムダ動作のムダ運搬のムダ不良、手直しのムダ

上記7つのムダを削減するために、トヨタ式では「ジャストインタイム」と「自働化」の2つの柱を重要視しています。それぞれの概要は、下記の通りです。

●トヨタの柱(1)ジャストインタイム

ジャストインタイムとは、「必要なときに必要なモノを必要な分だけ生産する仕組み」です。「後工程引取方式」「工程の流れ化」「タクト調整」の3つで構成されます。

【後工程引取方式】

必要生産数に合わせて部品を引き取ることです。前工程では後工程から依頼を受けた量のみ生産するため、「在庫のムダ」を削減できます。「造りすぎのムダ」も抑制でき、必要なモノを必要な分のみ生み出す体制を実現することが可能です。

【工程の流れ化】

工程の流れ化とは、1つの製品が手直しなどで、前工程に戻ることなく次工程にスムーズに流れる生産状況です。「不良・手直しのムダ」「運搬のムダ」などを削減することができます。

【タクト調整】

タクト調整とは、製品1つを生産するためにかかる時間を調整することをさします。なお、製品1つを生産するためにかかる時間のことをタクトタイムと呼びます。工程の流れ化を止めないためには、前工程でかかる生産時間と次工程でかかるタクトタイムを把握し、タクト調整を行う必要があります。

●トヨタの柱(2)自働化

自働化は、異常を感知したときに機械が自動的に止まり、人間によるチェックを受ける仕組みを作ることです。トヨタ式における「自働化」は、人偏(にんべん)のない「自動化」とは全く異なる概念です。「自動化」と「自働化」の違いを、下記の表にまとめています。

自動化自働化
働くだけの機械を使用し、作業すること異常の検知までに一定の時間を要し、対応が遅れるケースもある異常感知装置の付属する機械を使用し、作業すること異常を即座に検知し、対応できる

トヨタ式の自働化では、人間による監視の労力を最小限に抑え、効率的な生産体制を実現できます。必要最低限の従業員で足りる生産体制ができ、コスト削減も可能です。

業務改善を成功させるための具体的な手段

業務改善を進めようとしても、結果的に改善につながらず、取り組みとして良い結果を出せないケースもあります。「時間とコストだけかかってしまった」という状況にならないようにするためには、業務改善の具体的な手段を実行することがおすすめです。

業務改善を成功させるための手段としては、下記の4つがあります。

業務マニュアル・フローチャートを作成する

簡単に行える手段としておすすめなのが、業務マニュアル・フローチャートの作成です。業務マニュアル・フローチャートを作ることで、共通認識をもって業務に取り組めるようになるため、特に「ムラ」を最小限にできます。

業務マニュアル・フローチャートを作成するうえで重要な点は、誰が見ても理解できるよう、わかりやすい言葉でまとめることです。社内で共有する前に、実際に複数人に確認してもらい、わかりやすさをチェックすることをおすすめします。また、企業の成長や社会の変化などに応じて、内容を定期的に見直すこともポイントです。

一部業務をアウトソーシングする

自社で行っている業務の一部を切り離し、専門家にアウトソーシングすることも、おすすめの方法の1つです。特に「ノンコア業務」と言われているような、単純で利益に直結しない業務は、アウトソーシングに向いていると言えます。

例えば、人事業務であれば、給与計算や年末調整などの業務をアウトソーシングすることで、採用や育成といったコア業務に時間を割けられるようになります。営業職であれば、リスト作成を代行してもらうことでお客さまとのコミュニケーションや商談などの売上につながる仕事に集中できるでしょう。

ただし、アウトソーシングには、自社にノウハウが蓄積されにくいデメリットもあります。定期的に打ち合わせをする、マニュアルを作成して残しておくなど、ノウハウを蓄積する工夫も必要です。

適切なITツール・システムを導入する

ITツールやシステムの導入により、業務の自動化や効率化を図ることも、業務改善に効果的な手段です。例えば、飲食店やサロンなどを運営している企業であれば、予約システムを導入することで、インターネットから予約した内容を自動で管理できるようになります。タスク管理ツールを活用すれば、各自が抱えている業務をチーム内で一元的に管理できるようになるため、コミュニケーションが円滑になるでしょう。

ITツール・システムの導入は、ヒューマンエラーを減らすうえでも大きな効果を発揮します。細かい作業が多く、ミスが発生しやすい業務には、ITツールやシステムの導入を積極的に検討することがおすすめです。

複数の社員で業務を分担する

1人の従業員に負担がかかっているケースも多いため、複数名で業務を分担することも有効です。複数社員で業務を分担すれば、業務の属人化防止になるため、緊急時にお互いがカバーできたり、休みを取りやすくなったりするメリットにもつながります。

場合によっては、業務の担当者を変更するのも良いでしょう。従業員が所有しているスキルや性格などによって向き・不向きは異なるため、より適任の担当者をあてることで、効率性や生産性が向上する可能性があります。

業務改善を進めるうえでおさえておくべきポイント

業務改善を進める際には、何となく実施すると必要以上に時間がかかったり、現場に負担がかかったりするかもしれません。あらかじめポイントを理解したうえで、取り組みに落とし込むことが重要です。

ここでは、業務改善を進める際に押さえておくべきポイントを2つ紹介します。

中長期的な視点をもつ

早急な結果は求めずに、中長期的な視点をもつことが重要です。業務改善では、今まで組織に根付いていた方法を変えるため、成果が出るまでに時間がかかることは珍しくありません。また、中長期的な視点が欠けていると業務改善の効果が持続せず、将来的な企業成長にはつながらない可能性もあります。

中長期的な視点をもつためには、業務改善の目的を設定する際に、理想とする企業の姿を明確にすることがポイントです。企業のビジョンを踏まえて業務改善することで、将来的な視点を自然ともてるようになります。目に見える成果がすぐに出ないと焦りが生まれる場合もありますが、落ち着いてじっくりと取り組みましょう。

現場の意見に耳を傾ける

業務改善の多くは経営層や人事部によって行われますが、日々業務に取り組むのは従業員であるため、現場の意見に耳を傾けながら業務改善を進めることもポイントです。現場の理解を得られないまま無理な業務改善を進めようとすれば、かえって負担が大きくなり、悪影響が生じる可能性もあります。

例えば「明日から担当業務を変更する」と言われても、ほとんどの人はすぐに対応できません。事前に伝えたうえで、業務の理解や引き継ぎなどの準備をする期間が必要です。

また、お互いが気持ち良く業務改善に臨めるよう、現場と担当者の関係性にも着目しておく必要があります。もちろん、考え方や立場は人によって違うため、すべての意見に対応する必要はありません。ただし、従業員が気軽に声を挙げられるような環境や、必要なときに柔軟に意見を反映できるような環境の構築も重要となることも覚えておきましょう。

まとめ

業務改善とは、業務におけるムラ・ムリ・ムダをなくすことであり、業務効率化や生産性向上といったさまざまなメリットを企業にもたらします。フレームワークの使用や基本手順の理解、トヨタ式の活用などのポイントをそれぞれ理解したうえで、自社での取り組みに生かしてください。

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