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営業戦略を立てる5つの手順を解説!役立つ5つのフレームワークもご紹介

「営業戦略って、具体的にどう立てれば良いのだろう?」
「フレームワークは知っていても、活用の仕方が分からない」
「効果的な営業戦略を立てたいけど、何から始めたら良いだろうか?」
営業管理を担当する方々の中には、このような悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、効果的な営業戦略を立てるための5つの具体的なステップを解説します。また、3C分析やSWOT分析など、戦略立案に役立つ5つのフレームワークについても、実践的な活用方法を交えて紹介しています。

これらを理解することで、自社の状況に適した実効性の高い営業戦略を立案できるようになるでしょう。さらに、各ステップでの具体的なアクションも明確になるため、目標の達成が期待できます。

営業戦略の立て方について体系的に理解したい方は、こちらを最後までお読みください。

営業戦略とは

営業戦略とは、企業が目指す売上や利益などの目標を達成するために策定する基礎となる計画です。効率的かつ効果的な営業活動を推進するために、市場の変化や競合他社の動向を踏まえて立案します。

営業戦略では、企業の成長や利益を左右する重要な要素として、「何を・いつまでに・どのレベルで解決すべきか」を明確に定義します。

例えば「6ヶ月後に売上高を現状の120%にアップさせる」といった具体的な目標を設定し、その達成に向けた道筋を描くことが重要です。

また、営業戦略の立案には、自社製品・サービスの強みや社内のリソース、現状の営業課題を把握することが欠かせません。さらに、マーケットの状況や競合分析なども重要な要素となります。

これらの要素を総合的に分析し、組織として統一した方針や取り組むべき課題を明確にすることで、効果的な営業活動の推進が可能となります。

営業戦略と営業戦術の違い

営業戦略と営業戦術は、目標達成に向けた計画という点では共通していますが、その役割と範囲は大きく異なるでしょう。

営業戦略は、売上目標の達成に向けた大局的・長期的な計画を指します。

例えば、顧客満足度を高めるために導入したインサイドセールスとCRMツールを組み合わせることで、解約率を○○%引き下げ、LTV(顧客生涯価値)を向上させるといった具体的な数値を含む大枠のストーリーを描きます。

一方、営業戦術は戦略を実現するための具体的な手法やアクションプランです。インサイドセールスの運用方法や、CRMツールを活用したデータ収集の方法、解約率低下のための具体的な施策など、より実務的な計画を立てることを指します。

まず戦略があり、その下に複数の戦術が紐づくという階層的な関係性にあります。

営業戦略を立てる5つの手順

効果的な営業戦略を立てるには、体系的なアプローチが必要です。以下では、営業戦略を立案する際の5つの重要なステップについて説明します。

ただし、これらの手順は一般的な指針であり、企業の規模や業態、直面している課題によって、より適切な進め方が異なる場合があります。また、必ずしも順序通りに進める必要はなく、状況に応じて同時並行で取り組むステップもあるでしょう。

以下のステップを参考に、自社の状況に合わせて柔軟にカスタマイズしながら、実行可能性が高く、目標達成につながる戦略の策定を進めましょう。

現状の分析を行う

営業戦略の立案において、まず取り組むことは現状分析です。これには、外部環境分析・顧客分析・競合分析・自社分析といった複数の観点からのアプローチが必要となります。

外部環境分析では、社会や経済、政治、技術の動向といった市場全体のトレンドを把握し、顧客分析では、市場規模や成長性、顧客ニーズの変化を理解します。

競合分析では、競合他社の事業規模や製品・サービス、シェアなどを分析し、差別化のポイントを見出しましょう。

自社分析では、営業部門のリソース把握が重要です。営業担当者の人数や予算、利用可能なツールなど、自社の経営資源を正確に理解することで、実現可能な戦略立案につながります。

目標を設定する

現状分析を踏まえた次のステップは、具体的な目標設定です。この段階では、中長期的な目標を数値とともに明確に定めることが重要となります。

目標設定の際は、SMART原則を活用すると効果的です。これは「Specific(具体的)」「Measurable(測定可能)」「Achievable(達成可能)」「Relevant(関連性)」「Time-bound(期限)」の5つの要素から成り立つ目標設定の法則です。

例えば「今後3年間で売上高を◯◯億円達成する」「1年以内にリピート率を◯◯%向上させる」といった具体的な数値目標を設定します。

また、目標の達成度を客観的に計測するために、KGI(重要目標達成指標)を設定することも大切です。設定した目標は定期的に進捗をチェックし、必要に応じて戦略を見直すことで、より確実な目標達成が可能でしょう。

ターゲット顧客を絞る

目標が定まったら、次は具体的なターゲット顧客を設定します。市場調査やヒアリングを通じて、自社製品やサービスを必要とする顧客層を特定することが重要です。

この段階では、ペルソナの設定が効果的です。年齢、性別、職業、年収、価値観、興味などの要素を設定し、できるだけ具体的な人物像を作り上げます。例えば「20代後半から30代前半の、自然派商品に関心が高い女性」といったように設定します。

ここで重要なのは、理想的な顧客と実際に購入する顧客との間にギャップが生じていないかを検証することです。市場調査や過去の取引履歴など、信頼性の高いデータをもとにペルソナを設定することで、より実効性の高いターゲティングが可能となります。

カスタマージャーニーを明確にする

カスタマージャーニーとは、見込み顧客が最終的に購入に至るまでの一連のプロセスを可視化したものです。このプロセスを明確にすることで、顧客の各段階に応じた最適なアプローチを計画できます。

カスタマージャーニーは通常、「認知」「情報収集」「意思決定」「購入」「使用・体験」「共有・拡散」といった段階で構成されます。重要なポイントは「顧客のニーズを理解すること」「顧客の立場に立つこと」「スムーズに移行すること」です。

各段階で顧客が必要とする情報や支援を適切に提供することで、購買までの道筋をスムーズにできます。これにより、企業は顧客のどの段階で、どのような情報やサポートが必要かを把握し、それに合わせたアプローチが可能となります。

営業活動のKPIを設定する

KPIの設定は、営業戦略を具体的なアクションに落とし込み、その成果を測定するために重要なステップです。確実な目標達成のためには、適切なKPIを設定し、定期的にモニタリングすることが不可欠です。

KPIは具体的な期間と数値目標を持つ必要があります。例えば「毎月の売上を◯◯万円ずつ増やす」「新規獲得を毎月◯%増やす」といった形で設定します。週次・月次・四半期ごとなど、定期的に進捗状況を確認することが重要です。

もし数値が当初の予定からずれていた場合は、速やかに軌道修正や改善を実施します。短期間で結果の出るKPIを用いることで、PDCAサイクルを高速で回し、計画と実績が大きくずれる前に修正を加えることが可能となります。

営業戦略の策定に役立つフレームワーク

さまざまなフレームワーク(分析の枠組み)を活用することにより、営業戦略の策定をより効果的に進められます。以下では、戦略立案に特に役立つ5つの代表的なフレームワークについて解説します。

これらのフレームワークを適切に組み合わせることで、より緻密で実効性の高い戦略を策定することが可能となるでしょう。

3C分析

3C分析は、以下の3つの視点から市場を分析し、営業戦略の成功要因を導き出すフレームワークです。

・Customer(顧客):市場規模、成長性、顧客ニーズの変化など
・Competitor(競合企業):競合の事業規模、製品・サービス、シェアなど
・Company(自社):経営資源、強み・弱み、市場での位置づけなど

これらの要素を総合的に分析することで、市場での自社の立ち位置を正確に把握し、効果的な戦略立案が可能となります。

SWOT分析

SWOT分析は、内部環境と外部環境の両面から自社の状況を分析するフレームワークです。以下の4つの要素を分析します。

・Strength(強み):自社の競争優位性
・Weakness(弱み):自社の改善点
・Opportunity(機会):外部環境における好機
・Threat(脅威):外部環境における障壁

このフレームワークの特徴は、各要素を掛け合わせたクロス分析を行う点です。

例えば、全国に営業拠点が少ないという「弱み」と、オンライン商談の普及という「機会」を掛け合わせることで、オンライン営業ツールの導入による全国展開という新たな戦略を見出すことができます。

4P分析

4P分析は、自社製品やサービスの市場での位置づけを分析するフレームワークです。以下の4つの要素から分析を行います。

・Product(製品):商品やサービスの機能、品質、デザインなどの特徴
・Price(価格):価格設定、支払条件、割引戦略など
・Place(流通):販売チャネル、物流、在庫管理など
・Promotion(販売促進):広告、セールス活動、PR戦略など

これらの要素を総合的に分析することで、自社製品やサービスの市場での競争力を高める戦略を立案できるでしょう。

例えば、Productでは顧客価値や独自性、Priceでは市場での価格競争力、Placeではオンライン・オフラインの最適な組み合わせ、Promotionでは効果的な販促方法を検討します。

VC分析

VC(バリューチェーン)分析は、企業のビジネスプロセス全体を細分化し、各プロセスでどのように価値が生み出されているかを体系的に分析するフレームワークです。

具体的には、製品が顧客に届くまでの一連のプロセス(原材料や部品の調達、製造・加工、出荷配送、マーケティング、販売、アフターサービスなど)ごとに「価値」を見出し、それらがどのように連鎖しているかを分析します。

このフレームワークを活用することで、各業務プロセスを深掘りし、コスト・効率・付加価値の創出点を特定できます。

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析は、自社を取り巻く競争環境を分析するフレームワークです。以下の5つの要素から分析を行います。

・業界内での競争:既存企業間の競争状況、業界の規模や成長率など
・新規参入者の脅威:市場への新規参入の可能性、参入障壁の高さなど
・代替品の脅威:代替となる商品・サービスの存在、顧客の切り替えコストなど
・売り手(サプライヤー)の交渉力:原材料や部品の供給者との関係性、依存度など
・買い手(顧客)の交渉力:価格交渉力、顧客の規模や力関係など

これらの5つの脅威を詳細に分析することで、自社や自社製品・サービスの優位性がどこにあるのかを見つけられるでしょう。

例えば、業界内での競争状況を分析することで差別化のポイントを発見したり、新規参入の脅威を分析することで参入障壁を高める施策を検討したりできます。

このフレームワークの特徴は、外的な脅威を多角的に把握できる点です。各要素について詳細に分析し、それぞれの脅威に対してどのように収益を確保できるかを結論づけることが、具体的な戦略構築につながります。

適切な営業戦略を立てて目標達成を成し遂げよう

営業戦略は、企業の競争力を高め、売上向上の基盤となるものです。本記事で解説した5つのステップを実践することで、自社の状況に適した実効性の高い戦略の立案が期待できます。

戦略立案の各ステップを着実に進めながら、分析のフレームワークを効果的に活用することで、確実な目標達成を目指しましょう。