受発注管理とは、商品の「発注」と「受注」に関する一連の流れを記録・把握し、適切にコントロールする仕組みです。具体的には、仕入先への注文から入荷、在庫計上、顧客への販売・出荷までの各ステップを把握し、数量や納期を漏れなく管理します。
この管理が不十分だと、在庫不足や過剰在庫、納期遅延といった問題が起きやすくなります。そのため、多くの企業では受発注管理表を活用し、注文日や品目、数量、入出荷予定日などの情報を一覧化しています。
エクセルや専用システムで表を作成することで、担当者間の情報共有や進捗確認が容易になり、正確かつ効率的な受発注業務が可能になります。
特に小規模事業や新規事業立ち上げ時は、初期コストを抑えながらこの仕組みを構築できる点で、エクセルを活用した受発注管理は有力な選択肢となるでしょう。
今回は受発注管理をエクセルで行う方法とメリット・デメリットを解説します。
エクセルでの受発注管理表作成のポイント
エクセルで受発注管理表を作成する際は、必要項目の整理・効率的な集計方法・運用ルール・見やすさの工夫が重要です。以下の4つの視点を押さえておくと、日々の業務を円滑に進めやすくなります。
2-1. 必要項目を設定する
受発注業務に必要な基本情報(注文番号、取引先、品目、数量、単価、納期、担当者など)を明確にしてシートに反映します。あらかじめ取引の流れを整理し、将来的に項目が増える可能性も考えて設計しておくと、後々の修正や追加がスムーズです。
2-2. 関数・ピボットテーブルを活用する
SUMやVLOOKUP、IF関数を活用すれば、数量や金額の自動集計、条件分岐によるステータス管理が可能になります。さらにピボットテーブルを使えば、取引先別や期間別など複数の切り口でデータを集計・分析でき、経営判断にも役立てられます。
2-3. 運用ルールを策定する
複数の担当者が入力する場合は、入力順序やファイル名の付け方、更新タイミングなどを明文化しておくことが重要です。ルールを共有することで、入力漏れや二重登録などのヒューマンエラーを防げます。
2-4. グラフ機能を活用する
取引量の推移や仕入先別の発注状況などをグラフ化することで、視覚的に業務状況を把握できます。売上や在庫推移をグラフで確認できれば、需要の変動や仕入れ計画の見直しに即座に対応しやすくなります。
エクセルでの受発注管理に役立つ関数
エクセルでの受発注管理を効率よく行うには、マクロやVBAだけではなく関数の使用も有効です。受発注管理に役立つ代表的な関数を5つ紹介します。
SUMIF関数 |
検索条件に一致したセルの値を合計する関数です。受発注管理では、特定の商品の売上高や、発注した物品の個数を確認する用途で役立ちます。 ●数式 |
VLOOKUP関数 |
指定した列を検索し、検索値と一致したセルの値を抽出する関数です。指定した商品コードと一致する商品を抽出したいときなどに使用します。 ●数式 |
INDIRECT関数 |
指定したセル番地にある値を表示する関数です。商品名を一覧形式で作成しておき、表中にはINDIRECT関数を使用して商品名を表示させるなどの使い方ができます。 ●数式 |
ROUND関数 |
数値を指定した桁数に切り上げ、もしくは切り下げができる関数です。商品単価の改定で発生する端数の処理などに役立ちます。 ●数式 |
IFERROR関数 |
数式がエラーを返すとき、セルに表示する値を指定できる関数です。数式の計算でエラーが表示される可能性がある場合に、数式の前にIFERROR関数を入れるとミスを防げます。 ●数式 |
受発注管理をエクセルで行うメリット
エクセルを活用する最大の利点は、導入しやすさと柔軟性にあります。以下ではその具体的なメリットを紹介します。
1.低コストで運用できる
既に多くの企業で導入済みのエクセルを使うため、新たなシステム投資は不要です。無料テンプレートや既存ファイルを流用すれば、初期費用もほとんどかからず、すぐに運用を始められます。
また、エクセルは多くの社員が利用経験のあるツールであり、操作方法などの教育が不要である点も、エクセルならではの強みと言えるでしょう。
2.VBAやマクロ機能でさらなる業務効率化につながる
エクセルには拡張機能であるVBA(Visual Basic for Applications)やマクロ機能があり、エクセル上での複雑なデータ処理を自動化できます。
操作内容をマクロで記録して繰り返しのデータ入力を行ったり、プログラムを組んで伝票作成時の入力を簡易化するなど、マクロやVBAを活用すれば、手間のかかる作業を大幅に削減可能にし、業務効率化を期待できます。
3.外部システムと連携しやすい
エクセルは世界中の企業で使用されているアプリケーションであり、エクセルと連携できるツールは数多く存在します。
CSVやXMLなどの形式に対応しており、会計ソフトや販売管理システムなど外部サービスとの連携がしやすい点も魅力です。既存業務の延長で無理なく活用できます。
受発注管理をエクセルで行うデメリット
メリットが多くある一方で、エクセル管理には注意すべき課題もあります。以下のポイントを理解し、対策を講じることが大切です。
1.共有ミスが起こりやすい
受発注管理をエクセルで行うと、社内・チーム内での共有ミスが起こりやすくなります。
複数人が同じファイルを同時編集すると、片方の入力内容を上書きしてしまったり、双方のバージョンの違いによる混乱が起きるなど、エクセルは基本的に2人以上での同時編集に向いていないためです。
共有フォルダやクラウド利用で一定の改善は可能ですが、混乱やミスを完全に防ぐのは難しいでしょう。
2.受発注情報の更新にタイムラグが発生しやすい
エクセルで受発注管理を行う際は、社員が受発注情報を受け取って、手動で管理表へと転記をする必要があります。受発注情報を直接反映させることが難しく、転記の分だけ時間がかかる点がデメリットです。
また、エクセルに入力した受発注情報を社内に共有するには、エクセルファイルを更新後に社内向けに公開する必要があります。リアルタイムな情報共有ができないことにより、古い情報に基づいて業務が行われて、業務の無駄が発生する可能性があることにも注意が必要です。
3.データ量の増加とともに処理速度が低下する
エクセルは便利なアプリケーションであるものの、ファイル内のデータ量が増加すると処理速度が低下する問題があります。処理速度の低下によって受発注管理業務が遅くなり、場合によってはエラーが頻発したり、フリーズしたりもする点がデメリットです。
1つのファイルあたりのデータ量を抑えるためには、新しい受発注管理用のファイルを作成しなければなりません。ファイルが増えると、古いファイルの適正な管理をしたり、新しいファイルと古いファイルを混同しないよう注意したりするなど、ファイル管理の問題も発生します。
4. ファイル管理の手間がかかる
容量対策のためや複数人の同時編集を避けるためなど、運用の便宜上ファイル自体をわける場合も多いですが、そうしたケースではファイルを混同しないよう注意したり、古いファイルを適切に管理する必要があります。
フォルダ分けやファイル名称の付け方などをルール化したり、バックアップや整理の際にミスが起こらないよう、注意を払う必要もあります。
5. スマートフォンでの操作がしづらい
最近はスマートフォンやタブレットなどを使って、外出先から閲覧や編集を行いたいケースも増えてきましたが、エクセルはモバイル端末からの閲覧や編集の操作性が低く、出先や移動中の迅速な対応が難しいケースがあります。リアルタイムに更新するには限界がある点を理解しておきましょう。
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受発注管理はエクセルでも行えるものの、運用にはさまざまな注意点があります。
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また、@pocketは集計・分析機能が備わっており、受発注管理表の集計を簡単に行えます。集計データはグラフ表示が可能で、視覚的な分析ができる点も魅力です。
@pocketにはエクセルのインポート機能もあるため、すでにエクセルで受発注管理をしている場合もスムーズにシステム作成ができます。
業務効率化には受発注管理システムの導入もおすすめ
エクセルは手軽に始められる一方、前述のように規模拡大やリアルタイム共有には限界があります。より効率的な運用を目指すなら、自由設計が可能な@pocketのようなノーコードツールも含む、受発注管理を行うことができるシステムの導入が有効です。システム化すれば、受注から出荷までのデータを自動で一元管理でき、入力ミスや情報更新の遅延を大幅に減らせます。
発注状況のリアルタイム把握、在庫自動計算、帳票自動作成などによって、日々の業務負荷が軽減し、担当者が本来の販売戦略や顧客対応に時間を割けるようになります。クラウド型システムなら、外出先やスマートフォンからでも最新データを確認でき、社内外問わずスムーズな意思決定が可能です。
これらの理由から、成長を見据えた中長期的な運用には、専用の受発注管理システムが大きな力を発揮します。
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