運送事業では、乗務者の運行内容を運転日報に記載する必要があります。運転日報の作成は義務であり、適切に作成していない場合は罰則の対象となります。
安全に運送事業を続けるためにも、運転日報の重要性や適切な作成方法を理解しておきましょう。
今回は、運転日報の概要と目的、運転日報に記載すべき項目について解説します。運転日報をエクセルで作成するメリット・デメリット、運転日報の作成業務の効率化に役立つサービスにも触れるため、ぜひ参考にしてください。
目次
運転日報とは?
運転日報とは、運転業務の詳細を把握するための記録です。社有車を保有している企業や運送事業を行う企業には、運転日報の作成が義務付けられています。
運転日報の作成により、「乗務者が安全に走行できているか」「乗務者の健康状態は保てているか」を確認できます。また、保有する車両の状態を確認するためにも重要な記録です。
運転日報の管理は、一般貨物自動車運送事業の場合は運行管理者、事業用社有車の保有企業の場合は安全運転管理者が担当します。
安全運転管理者または運行管理者には、下記の義務が課せられています。
- 運転の状況に関する必要事項を記録する日誌を備え付ける
- 乗務者または運転者に日誌の記録をさせる
運転日報の作成には、乗務者または運転者による適切な管理項目の記載が必要不可欠です。基準を満たす運転日報を作成できるように、記載の目的や重要性をしっかり周知しておきましょう。
また、運転日報は法令に基づいた保管が必要です。貨物自動車運送事業輸送安全規則および道路交通法施行規則、労働基準法が定める運転日報の保管期間は、下記の通りです。
貨物自動車運送事業輸送安全規則および道路交通法施行規則 | 1年間 |
労働基準法 | 3年間 |
(出典:e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則」)
(出典: e-Gov法令検索「労働基準法」)
労働基準法の改定により、労働に関する書類の保管期間は3年から5年に延長されました。ただし、経過措置として当面の間は3年間の保管期間が適用されます。
(出典:厚生労働省「200401QA改正労基法」)
運転日報の保管方法は、紙またはデータのどちらかを選択可能です。
運転日報に記載すべき項目
運転日報に記載すべき項目は、一般貨物自動車運送事業と事業用社有車の保有企業でそれぞれ異なります。記載すべき項目数は一般貨物自動車運送事業のほうが多く、作成に手間がかかるでしょう。
ここでは、運転日報に記載すべき項目を事業形態別に詳しく解説します。
一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)の場合
一般貨物自動車運送事業の場合は、貨物自動車運送事業輸送安全規則に沿って運転日報を作成します。
一般貨物自動車運送事業が運転日報に記載すべき項目は、下記の通りです。
- 乗務者の氏名
- 乗務した車両の登録番号
- 乗務の開始日時と終了日時
- 運行先
- 乗務距離
- 運転交替をした場所と日時
- 休憩または睡眠をした場所と日時
- 貨物の積載状況(大型車の場合)
- 事故や大幅な遅延に関する概要および原因
- 運行指示内容
運転日報の記載は、必ず乗務者自身が行います。
「運転交替をした場所と日時」「休憩または睡眠をした場所と日時」は、該当しない場合は記載不要です。車両総重量8t以上または最大積載量5t以上の車両に乗車した場合は、「貨物の積載状況」も記載します。
交通事情などにより想定外のことが発生した場合は、「自己渋滞のため1時間の遅れ」など概要と原因を記載しましょう。
乗務時間が長くなるほど記載漏れやミスが多くなるため、都度記載することを習慣化させましょう。
事業用社有車の保有企業(白ナンバー)の場合
事業用社有車の保有企業は、道路交通法施行規則に沿って運転日報を作成します。
事業用社有車の保有企業が運転日報に記載すべき項目は、下記の通りです。
- 運転者の氏名
- 運転の開始日時と終了日時
- 運転距離
- 運転の状況の把握に必要な事項
運転日報の記載は、必ず運転者自身が行います。
一般貨物自動車運送事業が記載する項目に比べると、最低限の項目のみの記載で済みます。部署名・行き先・燃料代・高速料金など自社で必要な項目があれば、適宜追加も可能です。
運転日報はエクセルで作成できる?
運転日報は、エクセルで作成することも当然可能です。運転日報には決められたフォーマットがないため、記載すべき項目が含まれていればどのような形式でも問題ありません。
ここからは、運転日報をエクセルで作成するメリット・デメリットを解説し、無料で使用できる運転日報のエクセルテンプレートを紹介します。
運転日報をエクセルで作成するメリット・デメリット
運転日報をエクセルで作成するメリットは、下記の通りです。
- 低コストで導入できる
- 紙での作成に比べて業務効率が向上する
- 電子データとしてスマートに保存できる
すでに業務でエクセルを使っている企業も多く、無料のテンプレートを利用することで運転日報の管理を低コストで始められます。
紙で作成する場合は、ドライバーの作業時間が多くなるだけでなく、字が乱雑だと管理者が読みにくくなることもあります。電子データとして保存することは、ドライバーと管理者の双方にとって大きなメリットです。
一方で、運転日報をエクセルで作成する場合は、下記のデメリットが考えられます。
- ファイル管理が煩雑になりやすい
- リアルタイム共有ができない
- 知識のない社員の操作による不具合が生じるおそれがある
エクセルで運転日報を作成すると、データ量が膨大になり一元管理が難しくなります。車両台数が多いほど、ファイル管理に手間と時間がかかるでしょう。
運転日報を共有する場合、印刷したりメールに添付したりする必要があります。スムーズなデータ共有ができないこともデメリットの1つです。
また、データの集計や分析のためには、関数を組む必要があります。知識がない社員の操作によって関数崩れなどの不具合が起こるリスクもあるでしょう。
【無料】運転日報のエクセルテンプレート3選
無料で使えるエクセルの運転日報テンプレートを3つ紹介します。
事業用社有車の保有企業向けのテンプレートです。記載すべき項目以外に、休憩・仮眠の場所と時間を記載する欄も設けられています。車両毎に記載できるタイプもあるため、業務内容に合わせて選びましょう。
一般貨物自動車運送事業向けのテンプレートです。記載すべき項目以外に、高速料金・燃料代など車両管理に必要な項目も設けられています。荷積時間や荷卸時間、付帯業務時間を細かく分けて記載することも可能です。
事業用社有車の保有企業向けのテンプレートです。商品の詳細や配送区分も記載できるため、自社の商品配送状況の把握や管理にも役立ちます。気付いたことややりにくかった点を記載できる欄もあり、業務効率の向上にもつながります。
テンプレートによって記載できる項目数や内容はさまざまです。業務内容に合わせて、使い勝手の良いテンプレートを活用しましょう。
運転日報の作成業務の効率化には「@pocket」がおすすめ!
Excelで作成した運転日報は、ファイル管理の手間がかかる上にリアルタイムでの共有ができません。作業効率を上げるつもりが、逆効果になる可能性もあります。
作業効率を向上させつつ運転日報のデータ化を実現したい場合は、ノンプログラミング業務アプリ作成ツール「@pocket」の活用がおすすめです。「@pocket」であれば、特別な知識がなくても最適なシステムを簡単に作成できます。
管理システムとしても活用できるため、運転日報だけでなく点呼記録や運行管理表なども一括管理でき、エクセルや他アプリとの連携も可能です。アクセス制限機能により管理者を設定できるため、セキュリティ対策も万全です。
まとめ
運転日報は、手書き・エクセル・業務アプリなどさまざまな方法で作成できます。ただし記載すべき項目は、一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)と事業用社有車の保有企業(白ナンバー)でそれぞれ異なるため注意しましょう。
運転日報のエクセル作成のデメリットが気になる場合は、プログラミング不要で始められる業務アプリの活用がおすすめです。「@pocket」は、初期費用0円で月額料金のみで始められます。
コストを抑えつつスマートに運転日報の作成と管理をしたい方は、ぜひ「@pocket」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。