「バックオフィス業務を効率化には、どんなメリットがあるんだろう」
「ワークフローの見える化にぴったりなツールはないだろうか」
「バックオフィスの人手不足を解消したい」
そういった疑問や希望のある方も多いのではないでしょうか。
この記事ではバックオフィスの定義や該当する部門、バックオフィス業務の効率化について解説しています。
バックオフィスの効率化で得られるメリットにはどのようなものがあるか、実際に効率化するためにはどのようなツールを活用すればいいか、なども理解できるでしょう。
また、バックオフィス業務の効率化はDX推進(DXとはデジタル技術による変革のことを指す)にも不可欠です。紹介したツールを使用し、バックオフィス業務の効率化とコストの削減をしましょう。
目次
バックオフィスとはどんな業務のことか
バックオフィス業務とは、基本的に顧客と直接関わることなく完結できる業務のことです。主に総務や経理、人事や情報システムなどの管理部門が行う業務を指します。
バックオフィス業務は、会社の安定的な運営や従業員の円滑な業務遂行には欠かすことはできません。会社を支える屋台骨とも言えるのがバックオフィスです。バックオフィス業務に派手さはないものの、会社全体に影響の出る重要な業務と言えます。
バックオフィスとフロントオフィスの違い
バックオフィスの対義語としてフロントオフィスがあります。バックオフィスとフロントオフィスの大きな違いは、会社に対して直接的な利益を生み出すか否かです。
フロントオフィス業務は顧客とのやり取りを通じて、直接的な利益を会社にもたらします。一方のバックオフィス業務のメインは後方支援で、会社に対する直接的な利益を生み出すわけではありません。
しかし、バックオフィスの後方支援がなければ、フロントオフィスは十分な成果を上げることはできないでしょう。また、バックオフィス業務が滞ってしまうと、会社運営自体にも悪影響が少なからず出ると考えられます。
バックオフィスの職種の例
バックオフィス業務に分類されるのは、次のようなものがあります。
・経理:会社が使ったお金や、お金の流れを管理する部門。出納業務や月次決算書の作成など担当。
・財務:会社がこれから使うお金を管理する部門。予算管理や資金調達などを担当。
・人事:人材の管理をする部門。人材の採用や育成、人事評価、人材配置などを担当。
・労務:労働環境の管理や整備を行う部門。勤怠管理や給与計算、福利厚生業務などを担当。
・総務:組織全般に関わる業務を行う部門。設備や備品の管理、社内行事の運営などを担当。
・法務:法律に関わる業務を行う部門。法的な問題解決やコンプライアンス対応などを担当。
・情報システム:社内の情報システムに関わる業務を行う部門。ネットワークの運用やセキュリティの管理などを担当。
このように、会社の運営を支える業務や従業員が働くために必要な環境を整える業務を担うのがバックオフィスです。上記のほか、一般事務や営業事務もバックオフィスに含まれます。
バックオフィスを効率化することでどんなメリットがあるか
バックオフィスの効率化で得られるメリットには、従業員の作業負担軽減、コストや作業工数の削減、問題発生時の原因究明の迅速化などがあります。
こういったメリットが、社内全体のモチベーションアップにつながります。コスト削減が進めば、余剰分を必要な投資などに回すことも可能となるでしょう。また、作業工数の削減や迅速な問題解決は時間的な余裕を生み、生産性の向上を見込めます。
ここからは、バックオフィスの効率化によるメリットについて見ていきましょう。
コストが削減される
バックオフィスの効率化することで、人件費やコミュニケーションコスト、事務費用などを削減が期待できます。特にペーパーレス化の推進は、バックオフィス業務の効率化に欠かせないでしょう。
バックオフィスは、請求書や稟議書、申請書類など紙媒体での業務が多いことが特徴です。紙媒体の書類は、対面や郵送、FAXでやり取りをしなければなりません。そして、用紙や印刷も必要です。
ペーパーレス化することで、用紙や印刷のコストだけでなく、配送費や廃棄費も削減できます。また、紙媒体の書類の保管場所も不要で、データのやり取りはオンラインで行えるため、時間の節約にもなるでしょう。
このようにペーパーレス化でバックオフィス業務の効率をよくすることで、さまざまなコスト削減を図ることが可能です。
従業員の負担が分散される
バックオフィスの効率化によって、業務負担が大きいという課題の解消が期待できます。
バックオフィスの業務は、フロントオフィスのサポートをはじめ、労働環境や社内体制の整備、書類の作成、各種事務手続きなど多岐にわたります。しかし、直接利益を生み出すフロントオフィスに比べると、予算や人員の割り当てが十分ではないことも少なくないでしょう。
直接利益を生み出さないバックオフィス業務ですが、その役割は非常に重要です。バックオフィス業務が滞ると、会社全体に影響が出ます。
バックオフィスの効率化を行うことで、従業員が行わなければならない作業を軽減できます。その分、ひとりひとりの作業負担も軽くなるはずです。また、必要な人員も削減できるため、人手不足の解消にも期待できます。
業務にかかる工数が削減される
定型作業の自動化を導入しバックオフィス業務の効率化することで、業務にかかる工数の削減ができます。
バックオフィス業務には、定型業務が少なからず含まれています。定型業務は、決まった作業手順で繰り返し発生する業務のことです。例えば、決まったフォーマットの帳票を基幹システムに入力する作業や、売上データの集計作業などがそれに当たります。
そういった定型業務は、人工知能などを活用して自動化すれば、工数の削減が見込めるでしょう。また、工数の削減によって手の空いた人員をフロントオフィス業務に回せば、人員を増やさずに生産性を向上させることも期待できます。
ミスが発生しても原因特定がすぐできる
複数の人が関わる業務を決められたルールに則った流れで処理することや、それを図式に表したものがワークフローです。バックオフィス業務の効率化には、このワークフローの可視化が重要になります。
ワークフローを可視化することで、業務の進捗状況の共有が可能になり、次に何が必要か、どうすればいいかが分かりやすくなります。業務内容を関わる従業員全員でチェックできるため、うっかりミスを防ぐ効果もあるでしょう。
また、ミスが発生した場合、ワークフローが可視化されていないと原因を特定するために、稟議や申請の進捗状況を把握する調査が必要です。可視化されていれば、どこに原因があるのか一目瞭然となり、迅速かつリアルタイムでの対処が可能になります。
ワークフローを介することで、必ず決められた手順を踏んで業務に当たることになるため、担当者の違いによる対応の差がなくなります。結果的に業務の透明性が高まるでしょう。
バックオフィスを効率化する方法
バックオフィスを効率化するには、ワークフローや業務タスクの見直しやフォーマットの作成といった作業が大切です。
ここからはバックオフィスを効率化する方法と、その効果について見ていきましょう。
定型業務を発見し自動化する(RPA)
前述した通り、バックオフィス業務には帳票処理やデータ集計など、定型業務が多く含まれています。こういった定型業務はRPAを導入することにより自動化することが可能です。
RPA(Robotic Process Automation)は、PCを用いた事務作業をロボットに覚えさせ、代行させるシステムのことを指します。RPAを導入することで、定型業務の自動化が可能です。RPAはさまざまな企業から提供されています。
RPA導入で効率化を図るためには、どういった定型業務があり、どれくらいの頻度で発生するかなどの洗い出しが必要です。洗い出した結果を元に、どの工程にRPAを導入するかを検討しましょう。
頻度の高い定型業務にRPAを導入することで、良い結果を得られる可能性があります。
しかし、いきなりすべてを自動化すると、システムエラーが起きやすくなります。また、エラーの原因も分かりづらくなり、解決に時間がかかることも考えられます。エラーの解決が元で業務に支障が出てしまうと、本末転倒です。
導入するならば、あまり複雑ではない工程にRPAを導入し、動作確認をしていきましょう。問題がなければもう少し自動化してみるという風に段階的に自動化を進めていく方が賢明です。
簡略化用のフォーマットを作成する
バックオフィス業務の効率化には、情報のデジタル化が必須です。そのためには、作業を簡略化するためのフォーマットが必要になります。
現在は手書き帳票を利用している会社は少なくありません。しかし、将来的に手書き帳票の代わりにPCやタブレットなどで入力フォーマットを表示し、直接データ入力を行う方法が主流になってきます。
手書き帳票を介さず直接入力してもらうことで、アナログからデジタルに変換する工程を省けます。入力欄に入力条件を付与しておくことで、入力チェックも同時に行うことも可能です。そういった入力フォーマットの作成も視野に入れなければなりません。
また、どうしても手書き帳票を利用しなければならないときは、人工知能などを利用すると、手入力業務の高速化とヒューマンエラーの防止ができます。
定型帳票だけでなく非定型帳票に対応している人工知能もあるため、利用している帳票の種類によって検討をしてみるのもいいでしょう。
コミュニケーションを円滑化・効率化する
バックオフィス業務に限らず「報連相」といわれるコミュニケーションの徹底は非常に重要です。また、業務に関わる従業員同士の密なコミュニケーションが業務効率化の鍵になります。
社内のコミュニケーションを円滑に行うために重要となるのが、社内SNSやチャットのようなコミュニケーションツールです。コミュニケーションツールを活用すれば、時間や場所によらず報連相が可能になります。
進捗状況の報告、急なスケジュール変更、トラブル発生時の対処の指示など、さまざまな情報を共有することで、効率的な業務遂行が可能です。また、文字として残しておくことで、聞き間違いや思い違いの防止にも役立つでしょう。
人員の配置と業務の分担を最適化する
適材適所の人員配置や業務分担の最適化を行うことで、従業員のモチベーションや定着率のアップ、業務の効率化や生産性の向上、さらには人件費の削減も見込めます。
従業員と関係部署が納得でき、適材適所の人員配置を実現するために必要なデータは、次の2つです。
・経歴や能力、保有する資格など従業員自身に関するデータ
・業務をさばくために必要な人員の過不足といった部署に関するデータ
これらのデータを鑑みて、客観的な視点で検討や判断をしていきます。
人員配置を曖昧な理由で行うと、従業員自身や配置先の部門の理解を得られないばかりか、モチベーションの低下にもつながりかねません。状況によっては、貴重な人材を失うこともありえるでしょう。
的確な判断のためには、入社当初からの労務データや人事データを収集蓄積したデータベースが欠かせません。また、常に最新の情報が手に入るようにデータベースを更新していく必要もあります。
膨大なデータを扱うため、データの一元管理が可能な、タレントマネジメントツールの導入が望ましいでしょう。
バックオフィスの効率化に繋がるツール
バックオフィスの効率化には業務の自動化ツールや、コミュニケーションツールの導入といったツールの活用も有効です。
バックオフィスの効率化に役立つツールは、さまざまなものがリリースされています。多すぎてどれを選べばいいか分からないという方も少なくないでしょう。ここからは、手頃な価格で簡単に始められるオススメのツールを3つ紹介していきます。
「@pocket」と「マネーフォワード クラウド契約」には無料トライアル期間が設定されているため、実際の使用感などを試すことも可能です。
「バクラク請求書発行」には有償ではありますが、導入支援サービスとして専任の担当者が運用開始までサポートする制度が用意されています。
出典:業務アプリ作成ツールの@pocket (アットポケット)|株式会社アイアットOEC
参照:https://at-pocket.com/
出典:マネーフォワード クラウド契約|株式会社マネーフォワード
参照:https://biz.moneyforward.com/contract/
出典:バクラク請求書発行|株式会社LayerX
参照:https://bakuraku.jp/lp/doc-issue/
「@pocket」はプログラミングの必要がないため、誰でも簡単にアプリを作成できます。
アプリストアには、業務に応じたテンプレートが豊富に用意されているため、迷ったときはテンプレートを利用するといいでしょう。部品をドラッグ&ドロップするだけで、テンプレートもカスタマイズ可能です。Excelのデータもそのままインポートできます。
リアルタイムでのデータ集計や分析も手軽に作成できるため、レポート作成の手間も省けます。
有償のプラグインやオプションを追加することで、さらに便利なツールにすることも可能です。用意されているAPI連携プラグインの利用で、Googleスプレッドシートをはじめ、さまざまな外部サービスとの連携もできます。
サービスの用途としては、請求書管理や休暇申請、経費管理など多種多様です。さまざまな用途に対し、柔軟に対応できることが一番の特徴と言えます。
アクセス制限機能があり、アプリごとやレコード単位で公開するメンバーを選定できます。また、アプリの作成権限も設定できるため、部門ごとにアプリ権限を持つ管理者を設定することも可能です。
3パターンのうち、どのプランを選んでも導入費は無料です。必要な方には、専任担当者から活用方法や課題解決の提案をしてもらうこともできます。
出典:業務アプリ作成ツールの@pocket (アットポケット)|株式会社アイアットOEC
参照:https://at-pocket.com/
出典:価格・導入の流れ|株式会社アイアットOEC
参照:https://at-pocket.com/price/
プラン | 月額料金 | 主な機能/備考 |
---|---|---|
ライト | 300円 | レコード5,000件/1アプリ、無料テンプレート、お試しで試したい人向け。 |
スタンダード | 500円 | レコード10,000件/1アプリ、無料テンプレート、有料オプション追加、社内の多くの業務を効率化したい人向け。 |
プロフェッショナル | 700円 | レコード件数無制限、無料テンプレート、有料オプション追加、APIデータ連携、社内の大部分の業務をデジタル化したい人向け。 |
マネーフォワード クラウド契約
「マネーフォワード クラウド契約」は初期費用0円で始められる、契約業務全体を効率化するためのクラウドサービスです。
契約書の法務相談から、保存管理までをカバーしています。オプション料金なしで使えるワークフロー機能も搭載しており、契約書ごとの承認状況をリアルタイムで把握可能です。
契約締結はオンライン上で完結するため、印刷や郵送にかかっていた費用を削減できます。紙の契約書と電子契約の一元管理も可能です。他社の電子契約サービスで締結した契約書も自動で取り込めるため、管理が煩雑になりません。
契約書の送信料や保管料も0円で、送信数や保管件数による課金や上限設定がないため安心して利用できます。
契約審査における社内や相手先とのやり取りをシステム内で行い、記録することも可能です。審査の経緯も合わせて管理できるため、いつ誰がどのようにという情報も可視化できます。
マネーフォワード製品をはじめ、さまざまなソフトとの連携も可能です。API連携にも対応しています。
出典:マネーフォワード クラウド契約|株式会社マネーフォワード
参照:https://biz.moneyforward.com/contract/
出典:マネーフォワード クラウド契約の料金・プラン|株式会社マネーフォワード
参照:https://biz.moneyforward.com/contract/price/
プラン | 年額プラン | 月額プラン | 主な機能/備考 |
---|---|---|---|
パーソナルミニ | 10,800円(月額換算900円) | 1,280円 | 確定申告書の作成、見積・納品・領収・請求書作成、クラウドBoxファイル保存数1,000件まで。副業などで確定申告をする必要のある人向け。 |
パーソナル | 15.360円(月額換算1,280円) | 1,680円 | 確定申告書の作成、見積・納品・領収・請求書作成、クラウドBoxファイル保存数無制限。自営業、個人事業主として確定申告をする必要のある人向け。 |
パーソナルプラス | 35,760円(月額換算2,980円) | なし | 確定申告書の作成、見積・納品・領収・請求書作成、クラウドBoxファイル保存数無制限。確定申告の操作が不安で電話サポートを受けたい人向け。 |
スモールビジネス(30名以下) | 35,760円(月額換算2,980円) | 3,980円 | クラウド契約、クラウド会計部門登録2部門まで、クラウドBoxファイル保存数1,000件まで。部門管理が不要な企業や、請求業務の少ない小規模事業者向けプラン。小規模事業者向け。 |
ビジネス(30名以下) | 59,760円(月額換算4,980円) | 5,980円 | クラウド契約、クラウド会計部門登録無制限、クラウドBoxファイル保存数無制限。バックオフィス業務全般を効率化したい、中小企業向けプラン。中小企業向け。 |
31名以上の法人 | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ。 |
バクラク請求書発行
「バクラク請求書発行」は請求書、支払通知書、納品書、見積書など、さまざまな発行書類の作成や送付、保存ができるサービスです。電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しています。
書類の電子化によりオンラインで発行できるため、郵送などのコストを削減できます。郵送代行サービスもあるため、取引先が電子請求書に対応していない場合も安心です。
書類は個別作成だけでなく、CSVで一括作成や作成済みのPDFファイルの取り込みも可能です。一括作成した書類の個別修正にも対応しています。
帳票のレイアウトもドラッグ&ドロップで自由に調整可能です。見出しや明細、独自項目の記載内容の変更にも対応しています。
閲覧制限や操作権限を設定できるため、部署をまたいだ利用にも対応できます。
「バクラク請求書発行」に搭載されているワークフロー機能により取引先に送付する前に稟議の設定も可能です。このため、複数の稟議ツールで行っていた作業を、「バクラク請求書発行」で一元化できます。
これで申請や承認の手間が省け、承認漏れを防ぐことができるようになりました。また、承認ステップを複数設定でき、入力フォームや条件分岐なども柔軟に設定可能です。
出典:バクラク請求書発行|株式会社LayerX
参照:https://bakuraku.jp/lp/doc-issue/
出典:「バクラク経費精算」価格・料金プラン|株式会社LayerX
参照:https://bakuraku.jp/doc-issue/price/
出典:「ワークフロー」機能を追加|株式会社LayerX
参照:https://bakuraku.jp/news/20240227/
プラン | 月額料金 | 主な機能/備考 |
---|---|---|
要問合せ | 0円~ | 請求書、支払通知書、納品書、見積書などさまざまな発行書類の作成や送付、保存 |
バックオフィスを効率化してコスト削減しよう
本記事では、バックオフィスの効率化とそれに伴うメリットについて説明しました。
バックオフィス業務は会社全体に関わるものも多く、効率化を図ればその効果は会社全体に及ぶとも考えられます。期待されるものとしては、社内全体としてのコスト削減につながったり、モチベーションや生産性が向上したりといった効果を見込めます。
バックオフィスは業務の効率化などが、後回しになってしまうことも少なくありません。また、直接的な利益を生むフロントオフィス業務の方に人員を割き、バックオフィス業務の人手が足りないという中小企業もあるでしょう。
しかし、フロントオフィスだけでは会社運営は成り立ちません。バックオフィスの質が高ければ高いほど、フロントオフィス業務が円滑に遂行でき、利益を上げることができます。
今回紹介したツールやサービスを活用し、バックオフィスの効率化を図りコスト削減を目指しましょう。