企業活動において「見積業務」は、取引条件や金額を明確にし、顧客との信頼関係を築くうえで欠かせない役割を担っています。正確さはもちろん、スピード感や共有のしやすさも重要視される業務です。
しかし多くの企業では、いまだに書類やExcelを中心に見積書を作成しており、ヒューマンエラーや属人化、承認遅延などの課題が発生しやすい状況にあります。結果として、営業効率や顧客対応のスピードに影響を及ぼすことも少なくありません。
そこで今回は、Excelを用いた見積業務に潜む主な課題を整理したうえで、見積業務の効率化に有効な4つの方法を紹介します。見積業務の改善を目指している企業の経営者・担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 見積業務とは?

見積業務とは、商品やサービスの「数量」「金額」「納期」といった取引条件をまとめた見積書を作成して顧客に提出する一連のプロセスのことです。商品やサービスの購入を検討している顧客(発注元企業)からの依頼に応じて、受注企業(発注先企業)が行う業務であり、見積業務の具体的なワークフローは主に下記のステップで構成されます。
STEP(1) 見積価格の算出 | 顧客から発注を受けた商品やサービスにかかる材料費・人件費・送料 といった原価要素を考慮し、適正な見積価格を算出します。 |
STEP(2) 見積書の作成 | STEP(1)で算出した見積価格や内訳・条件を、 見積書に落とし込んで作成します。 |
STEP(3) 見積書の申請・承認 | 作成した見積書を社内の管理職や関連部署に申請し、承認を受けます。 |
STEP(4) 見積書の提出 | 見積書に問題がないことが確認され承認を受けたら、 顧客に見積書を郵送またはメールで正式に提出します。 |
STEP(5) 見積書の保存・管理 | 見積書を顧客に提出した後は、 その見積書をデータ化して社内で一元管理します。 |
見積業務は営業活動の入口に位置する大切な業務であり、受注の可否を左右する重要な役割を担っています。
見積もりの精度やスピードは受注率や顧客信頼に直結するほか、見積書は契約前の共有資料として顧客との認識齟齬を防げることから、トラブルの未然防止にも貢献するでしょう。
見積業務の迅速かつ正確な遂行は、営業成果を高める上でも不可欠です。
2. Excelを用いた見積業務における主な4つの課題

かつて見積業務は紙の書類でやり取りすることが主流でしたが、現在ではパソコンを使ってデジタルデータで作成・管理するのが一般的となりつつあります。
さらに専用の見積作成ソフトも増加しており、より便利なデジタル化の土台も整っているものの、依然としてExcelを使い続けている企業も少なくありません。Excelは手軽で汎用性が高い反面、見積業務においてはいくつかの課題が浮き彫りになりやすいことも実情です。
そこで次に、Excelを用いた見積業務の主な4つの課題について詳しく紹介します。
2-1. ヒューマンエラーが発生しやすい
Excelでの見積作成は、商品コードや単価、数量を入力し、計算式や関数を使って金額を簡単に算出することが可能です。
紙での見積業務と比較すると非常に合理的で作業効率も大幅に向上するものの、手入力やコピペ作業が多いため、入力ミス・参照ミス・計算式の崩れといったヒューマンエラーが起こりやすくなります。わずかな誤差でも積算金額に大きな影響を及ぼし、利益の損失や顧客からの信頼低下につながるリスクがあります。
また、原価情報が別資料に散在しているケースも多く、Excel単体では最新のデータを自動反映できないため、転記の手間や確認作業でさらにミスが発生しやすい点も課題です。こうしたエラーは、顧客対応の遅延やクレームにも直結するため、見積業務の大きなリスク要因と言えます。
2-2. 属人化しやすい
Excelは便利なツールとして多くの企業に活用されていますが、関数やマクロの使い方によってファイルの構造が複雑になりがちです。
例えば、担当者が独自のルールで作り込んだファイルは、ほかの社員が簡単に扱えない場合も少なくありません。その結果、見積書の作成や修正を特定の人だけが担うことになり、属人化が進行してしまいます。
万が一担当者が不在だったり退職したりすれば、業務が滞り顧客対応の大幅な遅れが一時的に発生するおそれもあります。
さらに、見積データが担当者のPCにだけ保存されていると、必要なときにほかの社員がアクセスできない状況も発生します。このように、属人化は引き継ぎの難しさだけでなく、組織全体の対応力を低下させる大きな問題となりうることに注意が必要です。
2-3. 発行・承認プロセスで時間がかかりやすい
Excelで見積書を作成した後、上長からの承認を得て顧客へ提出するまでには、意外と多くのプロセスがあります。なかでも印刷や回覧、押印、PDF化、郵送またはメール送信といった作業は、一つひとつは単純でも積み重なると大きな負担です。
特に紙ベースの承認フローを続けている企業では、承認者が出張中や不在のときに手続きがストップし、見積提出が大幅に遅れることもあります。また、メールでExcelファイルを送って承認を依頼する場合も、ファイルの開封・確認・修正依頼といった往復に時間がかかり、顧客対応が遅延します。
迅速な意思決定が求められるビジネス環境において、承認プロセスの遅さは商機を逃す致命的な要因になりかねません。
2-4. 情報共有がしにくい
見積業務においては、「過去の事例や顧客情報の参照」が効率化を図るためのポイントとなります。
しかし、Excelファイルが個人のPCや共有フォルダの中に散在していると、必要なデータを探し出すだけで多くの時間を浪費してしまいます。加えて、ファイル名や保存ルールが統一されていなければ「どれが最新版なのか」「どの案件の見積なのか」が分からず、混乱を招くこともあるでしょう。
情報が適切に共有されていない状態では、担当者が一から見積を算出する必要があり、業務効率が著しく低下します。また、ナレッジとしての蓄積が進まず、組織としての提案力強化も難しくなります。PC故障などでデータが消失するリスクもあるため、企業資産の保全という観点からも見積業務の適正化・効率化は大きな課題と言えるでしょう。
3. 見積業務の効率化に向けてできること4選

見積業務は営業活動の中でも頻度が高く、正確さが求められる重要なプロセスであり、紙やExcelに依存したやり方ではどうしても非効率が生じてしまいます。
最後に、見積業務を効率化し、正確性とスピードを両立させるために有効な4つの取り組みを紹介します。
3-1. 過去の見積書のデータ化と一元管理
過去の見積書を紙やバラバラのファイルで管理していると、検索や再利用に時間がかかり非効率です。そこで有効となるのが「過去の見積書のデータ化」と「新たな見積書も含めた一元管理」です。
過去の見積書を整理してデータベース化し、社内の誰もがアクセスできる環境を整えることで、必要な情報をすぐに参照できるようになります。これにより、類似案件の見積作成がスピーディに行えるだけでなく、過去データを活かした精度の高い見積提案も可能になります。
3-2. 承認フローの電子化
見積書は契約に直結する重要な書類であるため、承認プロセスは避けて通れません。しかし、紙の印刷や押印、スキャンを伴う従来の方法は、時間と労力を浪費します。
電子承認システムを導入すれば、上司や管理部門が出張中でもオンラインで確認・承認が可能になり、承認待ちによる停滞を大幅に削減できます。
リアルタイムで進行状況を可視化することも可能なため、営業担当者は顧客対応をスピーディに進められ、商機を逃すリスクも減らせます。
3-3. 営業事務アウトソーシングの活用
見積業務は営業担当者の大きな負担となりがちですが、必ずしも自社で完結させる必要はありません。
営業事務のアウトソーシングを活用することで、定型的な見積書作成やデータ入力を外部に任せられます。営業担当者は商談や提案活動といったコア業務に集中でき、組織全体の成果につながります。
さらに、専門スタッフによる正確な処理が期待できるため、ヒューマンエラーの削減や業務品質の向上にも寄与します。
3-4. ツールの導入
効率化を実現するもう一つの有効な手段が、業務ツールの活用です。
見積書作成専用ソフトだけでなく、ワークフロー管理や顧客管理(CRM)といった幅広いツールを組み合わせることで、見積作成から承認、共有までをスムーズに行えます。
近年では、自社の業務フローに合わせてアプリを簡単に作成できる「業務アプリ作成ツール」も注目を集めています。こうしたツールを活用すれば、属人化の解消や業務全体の効率化を強力に後押しできるでしょう。
まとめ
見積業務は営業活動の中でも欠かせないプロセスですが、Excelに依存すると入力ミスや属人化、承認の遅延など多くの課題が発生します。こうした課題を解決するためには、データの一元管理や承認フローの電子化、アウトソーシング、そして業務ツールの活用が有効です。
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出典:@pocket|株式会社 アイアットOEC
参照:https://at-pocket.com/
出典:価格・導入の流れ|株式会社 アイアットOEC
参照:https://at-pocket.com/price/
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