「アルコールチェックって、実際にどのようなことをしなければならないの?」
「アルコールチェックに役立つシステムはある?」
アルコールチェックが義務化されたことに伴い、このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、アルコールチェックが義務化された理由や義務化の対象となる企業、すべきことについて紹介します。
この記事を読むことで、自社がアルコールチェックを実施しなければならないか、対象であればどのように実施するか把握できるようになります。
アルコールチェック義務化についてや、対象企業に自社が含まれるか知りたい方はぜひ、こちらの記事をチェックしてみてください。
目次
アルコールチェックが義務化された
「アルコールチェック」とは、これから運転しようとしている人やこれまで運転してきた人が、酒気を帯びてはいないかチェックすることです。
2022年に「道路交通法施行規則第9条の10(安全運転管理者の業務)」が改正され、白ナンバーの社用車を一定台数保有する企業に対し、アルコールチェックが義務化されました。
この改正以前は、緑ナンバーの運送業や旅客運送業といった事業者がアルコールチェックの対象でした。しかし、2022年の改正に伴って対象が白ナンバーまで拡大されています。
出典:安全運転管理者の業務の拡充等|警察庁
参照:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index-2.html
出典:道路交通法施行規則|e-Gov法令検索サイト
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335M50000002060_20231201_505M60000002062
義務化された理由と経緯
飲酒運転については1947年頃から罰則が科されましたが、軽度な処罰でした。しかし、時代が進むごとに悪質な飲酒運転事故が多発したことで、現代ではより厳罰化が進んでいます。
ここからは、アルコールチェックが義務化された背景について詳しく紹介します。
出典:(1)道路交通法|法務省
参照:https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/38/nfm/n_38_2_1_2_2_1.html
義務化された理由
アルコールチェックの義務化されたのは、白ナンバーのトラックによる死亡事故が発生してしまったことが理由です。
2021年6月千葉県八街市において、下校中の小学生に、飲酒運転した白ナンバーのトラックが衝突し、5名ほどの死傷者を出すという事故がありました。当時、白ナンバーはアルコールチェックの義務がなく、実施されていませんでした。
この悲惨な事故を皮切りに「第2回交通安全対策に関する関係閣僚会議」の中で対策が発表されています。
発表の内容は、白ナンバーの社用車に対してもアルコールチェックを行うこと、安全運転管理者の選任や管理内容の充実、アルコール依存症関係の記載の拡充などです。
この後、道路交通法施行規則の一部が改正され、すでにアルコールチェックが義務化されていた緑ナンバーに加えて、白ナンバーも義務化されました。
出典:通学路における合同点検の結果について|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001466784.pdf
出典:第2回交通安全対策に関する関係閣僚会議 議事録|内閣府
参照:https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/sougou/pdf/k_210804/gijiroku.pdf
2022年4月の施行内容
2022年4月には、白ナンバーの社用車を一定台数以上保有する企業に対し、アルコールチェックが義務化されました。
施行内容は安全運転管理者を選任し、安全運転管理者が運転者に対して、目視等で酒気帯びしているかどうかを確認するといったものです。
また、実施した記録は1年間保存することが必須とされ、企業ではなく事業所ごとに義務を科されました。
出典:安全運転管理者の業務の拡充等|警察庁
参照:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index-2.html
2023年12月の施行内容
2023年12月から確認方法が厳しくなり、運転者の酒気帯びの確認を目視等ではなく、アルコール検知器を用いて行うことが義務付けられています。
このため安全運転管理者は、常に使用可能なアルコール検知器を保持することが義務付けられ、いつでもアルコールチェックを行える体制をとることが必要です。
出典:安全運転管理者の業務の拡充等|警察庁
参照:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index-2.html
アルコールチェック義務化の対象企業
アルコールチェック義務化の対象となるのは、以下のどちらかの条件を満たす事業所のある企業です。
・1事業所で乗車定員が11名以上の車を1台以上保有している
・1事業所で自動車を5台以上保有している(自動二輪車は0.5台で計算)
自社の事業所が該当するか、確認してみてください。
出典:安全運転管理者の業務の拡充等|警察庁
参照:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index-2.html
対象となる企業が行うべきこと
自社の事業所がアルコールチェック義務化の対象であった場合、企業はいくつかの対策を行う必要があります。
アルコールチェック義務化に対し、企業が行うべき対策を順番に紹介していくため、以下を参考にしてみてください。
安全運転管理者を決める
安全運転管理者を選任するには、20歳以上(副安全運転管理者を置く場合は30歳以上)及び、自動車の運転管理の実務経験を2年以上有していることが条件です。
また、自社が保有する自動車の台数が20台~40台の場合は、副安全運転管理者の選任も必要です。加えて40台以上の場合、20台増えるごとに副安全運転管理者を1人選任する必要があります。
出典:安全運転管理者制度の概要|警察庁
参照:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/pdf/seido.pdf
アルコール検知器の手配とメンテナンス
営業所ごとで国家公安委員会の定めるアルコール検知器を手配し、少なくとも週1回以上はメンテナンスしておきましょう。また、遠隔地で乗務を開始・終了する運転者がいれば、その運転者にもアルコール検知器を所持させる必要があります。
アルコール検知器について、国土交通省の推奨はありません。しかし、アルコール検知器協議会が検定ガイドラインを策定しているため、検定合格(型式認定)しているものを選ぶとよいでしょう。
アルコール検知器は、使用するごとにセンサーが劣化し、半永久的に使用できるものではありません。耐用年数や使用上限を確認し、その範囲内で使うようにしましょう。
出典:1.アルコール検知器の種類に関する情報共有|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/001288867.pdf
アルコールチェック記録を1年保存
アルコールチェックの記録は、1年間保存しなければならないため、きちんと記録し、保存しておきましょう。記録は、紙とデータのどちらかで残せば問題ありません。
紙で記録を残す場合は、専用のファイルや保管庫を用意します。一方データで記録を残す場合は、専用のフォルダにデータを格納しましょう。1年分を誤って記録を処分することのないよう、気をつけてください。
アルコールチェックのポイントとやり方
アルコールチェックは、社用車を一定台数以上持っている企業で義務化されており、適切に実施されなかった場合は、責任を問われる可能性があるでしょう。
ここからは、実際にアルコールチェックをする際には気をつけるべきことや、具体的な方法を紹介します。
アルコールチェックの対象者
アルコールチェックの対象となるのは、「業務目的で運転する運転者」です。
社用車を使って営業をしたり、配送のためにトラックを運転したりする人などが、アルコールチェックの対象になります。ただし、通勤のみで運転する場合は、アルコールチェックの対象外です。
アルコールチェックの実行者
運転者に対するアルコールチェックの実施者は「安全運転管理者」で、対面で行うことを原則としています。
しかし、安全運転管理者が不在の場合は、代理として「副安全運転管理者」か「安全運転管理者の業務を補助する人」が行っても問題ないため、これらの選任もしておくとよいでしょう。
運転者が対面でチェックを行えない場合は、運転者自身でアルコールチェックを行ってもらいます。その際は携帯電話やカメラを使い、安全運転管理者が運転者の様子を確認しましょう。
アルコールチェックのタイミング
アルコールチェックを行うのは、「運転前」と「運転後」の計2回です。
アルコールチェックを行うタイミングは出勤時や朝礼の時、業務の終業後や退勤時で構いません。該当者が一斉に集まるタイミングであれば、スムーズに行えるでしょう。
アルコールチェックの記録・管理方法
正式なアルコールチェックの記載方法は、特にありません。
主に、実施日やアルコール検知器を使用したアルコールチェックの「有・無」、酒気帯びの「有・無」を記録しましょう。また、アルコールチェックの実施者や、対象者の記録も忘れずに残してください。
出典:安全運転管理者の業務の拡充等|警察庁
参照:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index-2.html
車両管理におすすめな管理システム3選
ここからは、アルコールチェックを含む車両管理におすすめな管理システムを3つ、紹介します。
アルコールチェックは、一定台数以上の車を保有する事業所において、社用車を運用する際には毎回必要となります。データ管理することで、服務規律の保守もしやすいため、導入するとよいでしょう。
「@pocket」は社内の業務アプリを簡単に作成できるツールです。
@pocketでは、アプリを作成する際にコード等の知識が不要で、必要な管理システムを簡単に作成することが可能です。また、データ分析機能等の便利なオプションも充実しています。
出典:@pocket (アットポケット)|株式会社アイアットOEC
参照:https://at-pocket.com/
サービス名 | |
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料金(初期費用、月額) | 初期費用0円、ライト:330円/月 、スタンダード:550円/月、プロフェッショナル:770円/月 (税込み、1ユーザーにつき) |
特徴 | アクセス制限機能、帳票出力、等 |
運営会社 | 株式会社アイアットOEC |
カールコ
「カールコ」は、アルコールチェック管理ツールです。
カールコは、簡単な入力方法だけでなく、対象となる事業所を多く抱えている場合に管理しやすい点が特徴です。また、クラウドで管理されるため、直行直帰する運転者は使いやすいでしょう。
出典:カールコ[CARLCO]|コムネット株式会社
参照:https://www.comnet-network.co.jp/products/carlco/
サービス名 | カールコ |
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料金(初期費用、月額) | 無料 |
特徴 | 無料のアルコールチェック管理ツール |
運営会社 | コムネット株式会社 |
スリーゼロ
「スリーゼロ」は、アルコールチェック管理サービスです。
スマートフォンとアルコール検知器のみで検査し、多数のアルコール検知器に対応しています。また、検査漏れ防止機能や異常検知のアラート機能もあるため便利です。
出典:アルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』|株式会社AIoTクラウド
参照:https://alc.aiotcloud.co.jp/
サービス名 | スリーゼロ |
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料金(初期費用、月額) | 初期導入費:16,500円/事業所、シンプル:330円/月、スタンダード:550円/月、プレミアム:990円/月 (税込み、運転者1名あたり) |
特徴 | クラウド管理・AI測定 |
運営会社 | 株式会社AIoTクラウド |
クラウドを活用した管理ソフトで業務を効率化しよう
飲酒運転による事故を防ぐために法改正され、アルコールチェックを適切かつスムーズに行うための管理ツールも開発されてきました。
実施方法が分からない場合は、これまでに紹介した管理ツールを使えば、手間を省ける他、記録の漏れも防げるでしょう。
検査方法には遠隔と対面があるため、自社のニーズに合わせ、法令を遵守すべくアルコールチェックを実施してみてください。
出典:安全運転管理者の業務の拡充等|警察庁
参照:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index-2.html