近年、業務改善の取り組みとして、業務の見える化が注目されています。業務の見える化に取り組み、ワークライフバランスの実現やコスト削減に成功する企業は少なくありません。社員の勤務状況が見えないテレワークでも、業務の見える化は大いに役立ちます。
当記事では、業務の見える化の概要と可視化するべき項目、メリット・デメリットについて紹介します。さらに、業務の見える化の進め方や、注意点についても解説しているため、自社の業務効率化を図りたい人はぜひ参考にしてください。
目次
業務の見える化とは?
業務の見える化とは、業務内容や各社員の作業進捗状況を誰もが把握できる仕組みを作り、業務効率化を図る取り組みのことです。業務の見える化には2つの視点があり、企業全体の状況を把握するマクロ視点、個人の立場で具体的に業務を整理するミクロ視点に分けられます。
近年では、少子高齢社会による人材不足や、長時間労働などの課題を抱える企業が少なくありません。多様な働き方に応じつつ生産性向上を目指す「働き方改革」の実現に向けて、業務の見える化の重要性は高まっています。
業務の見える化で可視化するべき4つの項目
業務の見える化を始めるにあたって、要点をピックアップすると効率よく進めることができます。下記は、業務の見える化において特に可視化するべき4つの項目です。
・業務フロー
業務の手順書を文章や図を用いて作成し、全社員で共有できる状態にします。社員が業務の正しい手順を理解できるため、伝達ミスやトラブルが減少します。
・ナレッジ
社員一人ひとりが持つ知識・経験・ノウハウ・スキルなどのナレッジを共有することは、社員全体のスキルアップに効果的です。また、社内における成功事例を蓄積することで、より効果的な資料作成や提案営業が可能となります。
・タイムスケジュール
スケジュールを可視化すると、各社員の業務内容や居場所を把握することができ、社内の連携強化に役立ちます。タイムスケジュールには、「何時に・どこで・何をするか」を記載しましょう。
・タスクの進捗状況
タスクの進捗状況をオープンな状態にすることで納品遅延などのリスク回避が可能となり、チームや部署における生産性向上に役立ちます。また、社員一人ひとりの業務量を均等化することにつながり、特定の社員への負担の偏りを防ぎます。
上記のほか、顧客情報なども見える化できます。社内全体とチーム・部署の目的に応じて、業務の見える化を進めましょう。
業務の見える化をするメリット・デメリット
業務の見える化は、営業から経営、人事評価まで、あらゆる部門の課題解決に有効な手段であり、企業の発展に大いに貢献するでしょう。一方で、業務の見える化にはデメリットも存在するため、実施前に確認することが重要です。
ここでは、業務の見える化を進めるメリット・デメリットを紹介します。
メリット1:生産性の向上につながる
業務の見える化により、今まで見えていなかった非効率な部分や無駄な作業が明らかとなり、改善点を把握することができます。社内全体で課題解決に取り組めるため、より効率的な手段を考えることも可能です。
また、マニュアルを整理し作業内容や手順を統一化することで、仕事の質が一定に保たれる上、新人教育もスムーズに進みます。業務の見える化により社員が業務に集中できる環境が生まれるため、生産性向上が期待できるでしょう。
メリット2:部署間での連携が取りやすくなる
業務の見える化により、各社員の作業の進捗状況や業務内容が明確となり、部署間の相互理解を深めることが可能です。1つの目標に対する工数や作業手順を明確にすることで、方向性や優先順位の共通認識を持つことができ、部署間における関係性の構築・改善に役立ちます。
また、部署間のコミュニケーションが活性化すると、組織としての一体感が生まれます。社員同士の協力が促され、よりよいサービス・商品の提供を目指せるでしょう。
デメリット1:本質が見えなくなる可能性がある
マニュアル作成やタイムスケジュールの入力といった作業に集中してしまうと、業務の見える化の本来の目的を見失う可能性もあります。
業務の見える化を行う最終目的は、作業手順や進捗状況を明確にすることではなく、可視化できた情報をもとに企業の業務効率化を図ることです。業務の見える化はあくまで手段であると理解し、得た情報を有効に活用しましょう。
デメリット2:現場の柔軟性が失われる
業務の見える化は生産性向上に役立つものの、社員の行動を固定化し、新たな意見を受け入れにくい状況を生む可能性もあります。また、ルールが多いと働きづらさを感じる社員もいるでしょう。
企業が発展するためには、社員の自由な発想や臨機応変な対応力が欠かせません。マニュアル化にとらわれず、社員が意見を発信しやすい環境を整えることも必要です。
業務の見える化の進め方
業務の見える化の効果を引き出すためには、正しい手順で進めることが大切です。下記を参考に、効率よく業務の見える化を進めましょう。
業務調査・分析で得たデータをもとに、マニュアルを作成します。おおよその作業時間や、ミス防止に役立つ情報も盛り込みましょう。難易度が低い業務や、文書で表しやすい事務作業については、マニュアルを作成することで業務効率化を促せます。マニュアル化できない営業のコツなどは、考え方のヒントや成功事例をまとめるとよいでしょう。
業務に必要なスキルと個人の適性を考慮し、人員を適材適所に配置することを検討しましょう。配置転換により、社員が持つ能力を最大限に引き出せるほか、人材育成やモチベーション向上といった効果も期待できます。ただし、配置転換を行う際は社員の意見や希望に耳を傾けることも大切です。
ITサービスやツールを利用して、定型業務や単純作業を自動化しましょう。スケジュールや勤怠管理、売上や在庫情報などは、自動化ツール導入により社内での情報共有も容易になります。また、作業に充てる時間を削減できるため、より難易度の高い仕事に取り組む余裕も生まれます。
いずれの段階においても、現場の状況に合わせた施策が必要となるため、社員の意見や希望を考慮することが重要です。また、完成したマニュアルは定期的に見直し、アップデートを行いましょう。
業務の見える化を進めるときの注意点2選
進め方を誤ると、業務の見える化で期待する効果を得ることはできません。業務の見える化を成功させるためには、下記2点に注意しましょう。
・見える化する目的を明確にしておく
業務の見える化を進める目的を、全社員が理解しておくことが大切です。社員の協力を得なければ、分析に必要な正しい情報を得られません。社員に業務の見える化の目的を意識させる方法には、実施前に研修を開く、具体的なメリットや成功事例を提示するなどがあります。
・ツールの導入も検討する
業務の見える化を効率よく進めるためには、一般的なチャットツールではなく、@pocketのような顧客管理・資産管理ツールの利用がおすすめです。自社に合わせた業務管理ができるため、社内の情報が直感的に分かりやすく、問題抽出や情報管理に役立ちます。
業務の見える化は一時的なものではないため、改善を繰り返しながら継続的に取り組むことが必要です。理想の状態を目指し、社内で協力しながら業務の見える化に取り組みましょう。
まとめ
業務の見える化とは、業務フロー・ナレッジ・タイムスケジュール・タスクの進捗状況などを可視化し、業務を効率化することです。具体的には、生産性向上や部署間の連携強化などのメリットがあります。業務の見える化を進める際は、業務調査・分析の上でマニュアル作成や人員の配置転換を行うとともに、業務の自動化も検討しましょう。
@pocketは、業務フロー作成や顧客管理に利用できる、業務管理のクラウドサービスアプリです。社内の情報を柔軟に管理できるため、ぜひ業務の見える化に役立ててください。
業務フローを明らかにし、各工程における業務内容・業務量・必要なスキル・作業時間を確認します。業務の詳細を可視化した後に問題点を抽出し、無駄な業務の省略を検討しましょう。業務調査・分析を行う際は現場担当者の意見を聞き、状況を具体的に理解することが大切です。