事業を行う上での支出(経費)を管理することは、企業が利益を出すために重要なプロセスの1つです。経費精算を担当する経理部以外の方でも、自分が所属している部門における経費運用を適切に行うために、所属部門の経費管理を検討している方もいるのではないでしょうか。
当記事では、経費管理の概要をふまえた上で、代表的な表計算ソフトである「エクセル」で経費管理を行うメリット・注意点について解説します。経費管理表として使える無料のエクセルテンプレートや、エクセル以外のツールを用いた経費管理の方法も併せて確認し、自社に適した高効率で使いやすいツールを導入しましょう。
目次
経費管理とは?
経費管理とは、企業が事業を行うために必要な支出(経費)を管理することを指します。売上から経費を引いたものが企業の利益となるため、利益を上げるためには「経費が適切に使用されているか」を管理することが重要です。
企業全体の経費精算・経費管理は、主に管理部門(経理部など)が経費管理表や経費精算書を作成して行っている会社が多いでしょう。しかし、営業部や研究開発部など経費を実際に使用する機会が多い部門において、部署単位・チーム単位で経費管理を行っているケースも珍しくありません。
部門ごとに経費管理を行うことにより、部署やチームにおける経費の使用状況をより明確にできます。また、経費精算のフローやルールを確立することで、経理部門の負担も軽減できるでしょう。経費の不正使用も防止できるため、健全な企業会計と利益の向上につながることも期待できます。
経費管理に必要な項目例
経費管理を行う際には、経理担当者が会計帳簿に記帳する際に必要な情報をまとめておくことが大切です。主に以下のような項目が必要となるため、経理部門以外の方は自社の経理担当者に確認しながら経費管理表を作成しましょう。
◆経費管理に必要な項目(例)
経費管理の項目 | 内容 |
日付 | 取引をした年月日 |
担当者の氏名・所属部署 | 担当者(経費を使った人)の情報 |
承認者の氏名・所属部署 | 承認者(担当者の上司)の情報 |
取引先名 | 取引先(支払先)の情報 |
目的・用途 | 経費の使い道(交通費や通信費など)※勘定科目の判定に必要 |
支払額 | 取引先に支払った金額※単価や数量が必要な場合もある |
領収書 | 経費の妥当性を示すためにも添付必須 |
経費を管理するためには、上記のような情報をまとめて記載する必要があります。手書き入力では記入漏れ・ミスが起こる恐れがあるため、多くの企業では「専用のツールを使う」「エクセルで作成したフォーマットに入力する」といった方法がとられています。
経費管理をエクセルで行うメリット
経費管理の専用ツールを導入している企業も多い一方で、経理管理にエクセルを活用しているという企業も少なくありません。経費管理をエクセルで行うことには、主に次の3つのメリットがあります。
◆エクセルで経費管理を行うメリット
- 高価なツールを導入する必要がない
- 帳簿や計算が容易となる
- 他システムとの連携ができる
ここでは、上記の3つのメリットについて詳しく解説します。
高価なツールを導入する必要がない
近年では、さまざまな経費管理の専用ツールが提供されています。これらのツールは便利である一方で、初期費用などの導入コストが高かったり、月額料金などのランニングコストがかかったりすることも珍しくありません。
一方、エクセルは代表的な表計算ソフトであるため、会社で使用するパソコンにすでに導入されているケースも多いでしょう。高価なツールを新規導入する必要がなく、月額料金などのランニングコストもかからないため、コストをかけずに経理管理を行うことが可能です。
記帳や計算が容易となる
エクセルは表計算ソフトであるため、関数を活用して計算を容易にすることが可能です。「特定のカテゴリを抽出して集計する」「並び替えを行う」などの処理も簡単にできるため、情報処理もスムーズに行えます。
また、プルダウンによる選択肢を設定したり、条件付き書式でセルの色分けを行ったりすることも可能です。「承認待ち」「処理済み」などの項目を設定すれば、入力ミスや記入漏れを防ぎながら経費処理のステータス管理を適切に行えるでしょう。
このように、項目や関数がすでに設定されたフォーマットを作成すれば、経費に関する情報を入力して提出するだけというフローで運用できます。エクセル初心者でも安心して操作できるでしょう。
他システムとの連携ができる
他のシステムとの連携が容易にできることも、エクセルで経理管理表を作成するメリットの1つです。
エクセルで作成したファイルは、CVS形式というカンマで区切られたテキストデータに変換することで、他のシステムにアップロードできるようになります。CVS形式のファイルはシステム間での互換性が高いため、すでに導入している会計システム・経理ツールとも連携しやすいでしょう。
経費管理をエクセルで行う際の注意点
経費管理をエクセルで行うことにはメリットもありますが、気を付けておきたいポイントもいくつか存在します。下記は、経費管理をエクセルで行う際の注意点です。
●マニュアル作成が必須となる
エクセルは自由度が高く、会社や部署・チームに適したフォーマットを作れるというメリットがありますが、社員全員が使えるようにするためにはマニュアルが必要になります。経費精算・経費管理のルールを明確に設定し、詳細なマニュアルを作成した上で運用にあたりましょう。
●情報漏えい・データ紛失の対策が必要となる
エクセルで作成したファイルは簡単にコピーできるため、経費管理表などの重要なデータも外部へ持ち出せてしまいます。また、複数の社員が同じ経費管理表に入力する場合、データの誤削除や重複入力などのミスが発生することも考えられます。パスワードの設定やバックアップ保存など、データの漏えいや紛失への対策も整えておきましょう。
【エクセル】経費管理表として使える無料テンプレート2選
エクセルはビジネスシーンでも広く使われているソフトであるため、多種多様な無料テンプレートがインターネット上に多数公開されています。ここでは、経費管理表として使える無料テンプレートを2つ紹介します。
●経費/領収書管理表|Microsoft社
Microsoft社が提供している経費/領収書管理表です。経費の総額はもちろん、フィルタ機能で抽出した項目の経費の合計額も自動算出することができます。
(リンク:経費/領収書管理表)
●エクセル経費管理、経費一覧表テンプレート|bizroute(ビズルート)
bizroute(ビズルート)が提供している経費管理表の無料テンプレートは、経費管理に必要な情報を押さえたシンプルなつくりになっています。このテンプレートをもとにカスタマイズし、自社や部署・チームに適した経費管理表を作成してもよいでしょう。
(リンク:エクセル経費管理、経費一覧表テンプレート | 無料ダウンロード)
業務アプリ作成ツール「@pocket」は経費管理表の作成も可能!
経費管理をエクセルで行うことにはメリットもある一方で、ルール設定やマニュアルの作成、セキュリティ対策など、取り組むべき課題も少なくありません。より本格的な経費管理表を手軽に作成したいのであれば、経費管理表の作成も可能な業務アプリ「@pocket(アットポケット)」の導入がおすすめです。
企業の業務効率化を包括的にサポートするサービスは数多く提供されていますが、@pocketには自社に必要な機能を自分で選んでカスタマイズできるという魅力があります。プログラミングの知識はほとんど必要ないため、どのような企業でも導入しやすいでしょう。
@pocketは、初期費用0円・月額300円(ID単位)からスタートできるクラウドサービスです。無料トライアルも可能であるため、導入を検討している方はぜひご相談ください。
まとめ
経理部門だけでなく、経費を実際に使用する機会が多い部門で経理管理を行うことは、企業が支出の内容を見直して利益を上げるために必要なプロセスの1つです。経費管理の専用ツールもありますが、低コストでカスタマイズ性が高く、他システムとの連携も可能なエクセルを活用してもよいでしょう。無料テンプレートの利用もおすすめです。
一方で、エクセルで経費管理を行う際には、マニュアル作成などのルール整備やセキュリティ対策といった課題をクリアしなければなりません。より本格的な経費管理ツールを導入する際には、自社に合った業務効率化ツールをカスタマイズしてアプリ化できる「@pocket」をぜひご検討ください。