「デジタル化を進めてほしい」と言われたけれど、社内にIT担当者がいない——そんな状況で途方に暮れている方は、実はとても多いです。でも大丈夫。専門知識がなくても、正しい順番で進めれば、非IT企業でもデジタル化は着実に前へ進められます。この記事では、IT専門家がいなくても実践できる進め方を4つのステップに分けてわかりやすく解説します。
IT担当者がいない非IT企業でもデジタル化を進められる?【結論と全体ステップ】

結論から言うと、IT担当者がいなくてもデジタル化は進められます。必要なのは専門知識よりも「正しい順番」と「現場を動かす仕組み」です。その全体像を確認しましょう。
結論:専門知識がなくても、4つのステップで進められる
デジタル化と聞くと、プログラミングやシステム開発のような難しいイメージが浮かぶかもしれません。でも実際には、専門的なIT知識は必須ではありません。重要なのは、正しいステップを踏んで「小さく・確実に」進めることです。
この記事でご紹介するのは、次の4ステップです。
- 社内の推進担当者を決める
- デジタル化する業務の優先順位をつける
- サポートが手厚いツール・ベンダーを選ぶ
- 小さく試して、現場に定着させる
この順番で進めることで、IT担当者不在の環境でも、業務効率化・ペーパーレス化・コスト削減といった目標に向けて着実に動き出せます。
デジタル化の全体像をざっくり把握しよう
「デジタル化」と一口に言っても、範囲は広いです。まずは全体像を頭に入れておきましょう。
| フェーズ | 内容の例 |
|---|---|
| デジタイゼーション | 紙の書類をPDFやデータに変換する |
| デジタライゼーション | 業務プロセス自体をアプリやシステムで置き換える |
| DX(デジタルトランスフォーメーション) | データを活用してビジネスモデルを変革する |
非IT企業が最初に取り組むのは、上の2段階——つまり「紙や手作業をデータや仕組みに変えること」で十分です。DXは、その延長線上に自然と見えてくるもの。まずは目の前の業務改善から始めましょう。
なぜ「ITがわかる人がいない」とデジタル化が止まってしまうのか

「導入しようとしたけど途中で止まった」という声は非IT企業では珍しくありません。その背景にある2つのパターンと、それを乗り越えるヒントを整理します。
よくある失敗パターン:ツールを入れただけで終わってしまう
デジタル化が頓挫する理由として最も多いのが、「とりあえずツールを導入したが誰も使わなくなった」というパターンです。
なぜこうなるかというと、ツール選びや導入作業に注力しすぎて、現場への説明・運用ルールの整備・定着のフォローがおろそかになるからです。
よくある失敗の例をまとめると、こんな流れになります。
経営層がツールを決める → 現場に一方的に展開 → 使い方がわからず放置 → 「やっぱり紙のほうが早い」に逆戻り
このサイクルを防ぐには、「ツールを選ぶこと」よりも「現場が使える状態を作ること」に時間を使うことが大切です。
専門家不在でも進められる理由:ノーコードツールの登場
かつては、社内システムを作るには外部のITベンダーに大きな費用を払うか、プログラミングができる専門家が必要でした。ところが近年、ノーコードツール(プログラミング不要で業務アプリを作れるツール)の普及により、状況は大きく変わっています。
ノーコードツールを使えば、
- ExcelやGoogleフォームの感覚で業務アプリが作れる
- 在庫管理・日報・申請フォームなど幅広い業務に対応できる
- 導入コストを抑えながら、小規模から始められる
こうした特徴から、IT専門家が社内にいない中小企業でも、自社の担当者だけでデジタル化を推進できる環境が整ってきています。
ステップ1:社内の「デジタル化推進担当者」を決める

デジタル化をうまく進められる会社には、必ず「社内で旗を振る人」がいます。この担当者をどう選ぶか、そして選んだ後に何から動き始めるかを確認しましょう。
担当者はIT知識より「巻き込み力」で選ぶ
「IT担当者がいないからデジタル化が進まない」と思いがちですが、実は担当者に必要なのはITスキルよりも現場を動かすコミュニケーション力です。
デジタル化推進担当者に向いているのは、こんなタイプの方です。
- 部署をまたいで話を通せる人(総務・管理部門によくいる)
- 現場スタッフとも経営層とも話せる人
- 新しい取り組みに対して前向きな姿勢を持っている人
- 困ったときにベンダーや外部に質問することをいとわない人
IT知識は後から身につけられますし、ノーコードツールであれば操作を覚えるのにそれほど時間はかかりません。「PCが少し得意」くらいのレベルで十分です。
担当者が最初にやるべき3つのこと
担当者が決まったら、いきなりツールを探し始めるのではなく、まず社内の状況を整理することが先決です。最初にやるべきことは3つあります。
- 経営層から「何のためにデジタル化するか」の目的を明確に引き出す
コスト削減なのか、業務スピードの向上なのか、目的によって優先する業務が変わります。
- 現場の声を集める(困っていることヒアリング)
「どこで時間がかかっているか」「何が面倒か」を現場スタッフに直接聞きましょう。
- デジタル化の範囲とゴールをざっくり決める
最初から全部やろうとせず、「まずどこから変えるか」を絞り込みます。
この3つを押さえておくだけで、その後のステップがグッとスムーズになります。
ステップ2:どの業務からデジタル化するか優先順位をつける

すべての業務を一度にデジタル化しようとすると、必ずといっていいほど行き詰まります。初期段階では「どこから始めるか」を見極めることが成功のカギです。
「手間がかかっているのに効果が出やすい」業務を選ぶ
優先すべきは、「現状の手間が大きく、デジタル化したときに効果が見えやすい業務」です。効果がわかりやすいと現場も納得しやすく、社内の理解を得ながら次のステップに進みやすくなります。
優先度が高い業務の特徴としては、次のようなものが挙げられます。
- 毎日・毎週繰り返される定型業務(日報、在庫確認、勤怠管理など)
- データの転記や集計に時間がかかっている業務
- ミスが起きやすく、確認や修正に手間がかかっている業務
- 複数の人や部署がかかわる申請・承認フロー
逆に、年に数回しか発生しない業務や、現状でも特に問題がない業務は、後回しにしても構いません。
紙・Excel・口頭伝達が残っている箇所をリストアップする
デジタル化の対象を見つける一番の近道は、「紙」「Excel」「口頭」でやり取りしている業務を洗い出すことです。これらはデジタル化の余地が大きい箇所です。
以下のような観点でリストアップしてみましょう。
| チェック項目 | 具体例 |
|---|---|
| 紙が残っている業務 | 注文書・日報・申請書・点検表など |
| Excelで手作業している業務 | 在庫管理・シフト管理・売上集計など |
| 口頭や電話で伝えている情報 | 作業指示・連絡事項・変更通知など |
すべてをリストにして、「頻度が高い×手間がかかる」ものから優先的にデジタル化を検討しましょう。このリストが、次のツール選びの基準にもなります。
ステップ3:サポートが手厚いツール・ベンダーを選ぶ

業務の優先順位が決まったら、次はツール・ベンダー選びです。非IT企業にとって、「機能の多さ」より「サポートの充実度」が選定の決め手になります。
非IT企業が確認すべきサポート体制の3つのポイント
ツールを選ぶとき、多くの企業は機能や価格を重視しますが、IT知識が乏しい環境では「導入後にどれだけサポートしてもらえるか」がより重要です。
確認しておきたいサポート体制のポイントは3つです。
- 初期設定・導入支援があるか
「ツールは提供するけど設定は自分でやってください」というベンダーもあります。非IT企業には、初期設定から一緒にやってくれるベンダーが安心です。
- 日本語でのサポート窓口(電話・チャット)があるか
英語のみ・メールのみのサポートは、問題が起きたときに対応が遅くなりがちです。電話やチャットで気軽に質問できる体制かどうか確認しましょう。
- 操作マニュアルや研修動画などの学習コンテンツが充実しているか
担当者が独学で習得できる素材があると、ベンダーに都度問い合わせなくても自走できます。
ノーコードツールを選ぶメリットと選定の注意点
前述のとおり、ノーコードツールはプログラミング不要で業務アプリを作れるため、非IT企業にとって有力な選択肢です。ただし、ツールによって得意な業務領域や使い勝手は異なるため、いくつかの点に注意が必要です。
ノーコードツールを選ぶ際のチェックリスト
- [ ] 対象業務に対応した機能(フォーム・承認フロー・データ集計など)があるか
- [ ] 無料トライアルや小規模プランで試せるか
- [ ] スマートフォンやタブレットからも操作できるか
- [ ] 既存のツール(Excel・メール・勤怠システムなど)と連携できるか
- [ ] データのバックアップやセキュリティ対策が明記されているか
@pocket のようなノンプログラミングで業務アプリを作れるサービスは、専任のIT担当者がいなくても導入・運用しやすい設計になっており、非IT企業の業務デジタル化に向いています。
ステップ4:小さく試して、現場に定着させる

ツールが決まったら、いきなり全社展開するのは禁物です。「まず小さく試す → 改善する → 広げる」という流れで進めることで、リスクを抑えながら現場への定着を図れます。
まず1部署・1業務で試験導入する(スモールスタート)
デジタル化のスモールスタートとは、「全社一斉ではなく、1つの部署・1つの業務から試してみること」です。
スモールスタートの具体的な流れはこのようになります。
- 優先度の高い1業務を選ぶ(例:日報の提出を紙→アプリに変更)
- 協力的なスタッフが多い部署でテスト導入する
- 2〜4週間ほど使ってみて、問題点や改善点を集める
- 修正・調整を行ってから、次の部署や業務へ展開する
このように小さな範囲で動かすことで、「大失敗」のリスクを最小限に抑えられます。試験導入中に問題が見つかっても、影響範囲が限られているため修正もしやすいです。
現場スタッフの不安を減らすための巻き込み方
デジタル化が現場に受け入れられない大きな理由のひとつが、「自分の仕事がなくなるのでは」「使い方がわからなくて怒られるのでは」という不安です。この感情を放置すると、ツールを入れても使ってもらえません。
現場スタッフを巻き込むための工夫として、次のようなアプローチが有効です。
- 目的を丁寧に説明する:「あなたの仕事を楽にするためのもの」と伝える
- 操作を一緒に体験する場を設ける:説明会や練習タイムを設けて、最初のハードルを下げる
- 「使いにくい」という声を歓迎する姿勢を示す:文句が言える環境があると、スタッフは安心して試せる
- まず1〜2名の「味方」を作る:協力的なスタッフに先行して使ってもらい、口コミで広める
現場の声を吸い上げる仕組みを作ることが、定着への近道です。
試験導入後に確認すること・全社展開のタイミング
スモールスタートの期間が終わったら、以下の観点で振り返りましょう。
| 確認項目 | 合格の目安 |
|---|---|
| スタッフが自発的に使っているか | 促さなくても操作できている |
| 業務時間や手間に変化があるか | 作業時間が短縮された・ミスが減った |
| 操作に関する問い合わせが落ち着いてきたか | 「わからない」の声が減ってきた |
| 運用ルールが現場に浸透しているか | ルールを知らないスタッフがいない |
これらの項目がおおむねクリアできていれば、全社展開に進むタイミングです。逆に「まだ現場が慣れていない」と感じる場合は、もう数週間様子を見てから広げましょう。焦らず段階的に進めることが、長期的な業務効率化につながります。
まとめ

非IT企業のデジタル化は、IT専門家がいなくても進められます。大切なのは「専門知識」よりも「正しい順番」です。
今回ご紹介した4つのステップをおさらいします。
- 社内の推進担当者を選ぶ(IT知識より巻き込み力)
- デジタル化する業務の優先順位をつける(紙・Excel・口頭伝達から探す)
- サポートが手厚いノーコードツール・ベンダーを選ぶ
- スモールスタートで試験導入し、現場に定着させる
どのステップも、特別な知識がなくても実践できる内容です。まずはステップ1の「担当者決め」から動き始めてみましょう。小さな一歩が、会社全体の業務改善への大きな変化につながります。
非IT企業のデジタル化の進め方・ステップについてよくある質問

デジタル化に予算がほとんどかけられない場合はどうすればいいですか?
無料プランや月額数千円から使えるノーコードツールが多数あります。まずは小規模な無料トライアルで試し、効果が見えてから有料プランに移行するのが安心です。初期費用を抑えながら段階的に投資を増やす「スモールスタート」の考え方がそのまま活きます。
デジタル化の推進担当者に向いている社員がいない場合はどうすれば?
IT知識がなくても構いません。「社内でまめに連絡を取れる人」「新しいことを嫌がらない人」であれば十分です。外部ベンダーのサポートをうまく使えば、担当者の負担を大幅に減らせます。最初からひとりで抱え込まず、ベンダーと二人三脚で進める体制を作りましょう。
ノーコードツールは本当にプログラミングなしで使えますか?
はい、使えます。ノーコードツールはExcelやGoogleフォームに近い感覚で操作できるものが多く、ドラッグ&ドロップで画面を組み立てられる設計になっています。ただしツールによって操作性に差があるため、無料トライアルで実際に触れてから決めることをおすすめします。
デジタル化の効果が出るまでにどのくらいかかりますか?
業務の種類やツールによって異なりますが、日報や申請フローのような定型業務であれば、導入から1〜2か月以内に「入力の手間が減った」「集計が楽になった」といった変化を感じられるケースが多いです。全社的な効果実感には3〜6か月程度を見込んでおくと現実的です。
途中で「やっぱり合わない」となった場合、やり直しは難しいですか?
スモールスタートで始めていれば、やり直しのコストは最小限で済みます。ノーコードツールの多くは初期投資が小さく、乗り換えも比較的容易です。最初から完璧を求めるのではなく、「試して、直して、広げる」というサイクルで進めることが、非IT企業のデジタル化を成功させる基本姿勢です。














