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脱エクセルで属人化を解消する4ステップ、ノーコードで標準化する実践手順

Excelで属人化を解消する4step

この記事のまとめ

脱エクセルで属人化を解消する近道は、業務の棚卸し、優先順位の決定、判断基準の統一、不要な作業の削減という4ステップを順に踏むことです。そのうえでノーコードのクラウドデータベースへ業務を移し、ファイル管理からデータベース管理へ切り替えると、誰でも同じ品質で業務を進められる状態を作れます。全体像は次のとおりです。

  • 属人化は担当者依存とブラックボックス化から生まれ、Excelの共有・マクロ運用と結びつきやすい
  • 解消の順序は棚卸し・優先順位・基準統一・削減の4ステップ
  • ノーコード活用で現場主導の標準化と可視化を両立し、引き継ぎ負担を軽くできる
  • 60点スタートと改善の積み重ねで運用を定着させ、判断は人に残す

脱エクセルと属人化の基礎理解

脱エクセルと属人化は別々の言葉ですが、現場では強く結びついた課題として現れます。

脱エクセルと属人化の定義

脱エクセルとは、Excelに集中しがちな業務のうち、共有や引き継ぎが難しい部分をほかの仕組みへ置き換える取り組みです。一方の属人化は「この業務はこの人しか分からない」状態を指し、人手不足の現場で発生しやすいと指摘されています(参照*1)。特定の担当者だけがマクロを扱える運用は、脱エクセルの文脈で語られる属人化の典型例です(参照*2)。

つまり脱エクセルの本質は、Excelそのものを排除することではなく、担当者依存で回っている業務を誰でも扱える形に整え直すことにあります。自社のどの業務が特定の人に寄りかかっているのかを見極めるところが、議論の出発点です。

ブラックボックス化との関係

ブラックボックス化は、属人化を強める代表的な要因です。マクロや複雑な関数が組み込まれたExcelは、作った本人以外には中身が見えにくく、内容が可視化されない問題を抱えます(参照*2)。

NTTデータビジネスブレインズが営業事務経験3年以上の221人を対象に実施した調査では、謎のマクロや複雑な関数に苦労した経験が「たまにある」が52.1%、「よくある」が12.1%で、合計6割以上にのぼりました(参照*3)。

マクロや関数そのものが問題なのではなく、可視化の仕組みや引き継ぎ設計が伴わないまま運用が続く点が課題です。重要ファイルに作成者しか説明できない処理が眠っていないかが、確認すべき箇所になります。

脱エクセルで解消できる範囲

脱エクセルはExcel全廃ではなく、置き換える領域と残す領域を切り分ける取り組みです。キーマンズネットの2025年調査では、勤務先で脱Excelに「取り組んでいない」と回答した企業が65.8%と半数以上を占めました(参照*2)。

共同で扱う情報の管理は置き換えの候補になる一方、個人の分析用途や一時的な集計はExcelを残したままでも十分に機能します。業務ごとに「担当者依存が強いか」「共同で扱う必要があるか」を切り分けて考えると、脱エクセルの射程が具体的に見えてきます。

属人化が起こる原因とリスク

属人化は個人の努力不足ではなく、人手不足や改善時間の欠如といった構造的な要因が重なって起こり、放置すれば事業継続に関わる経営課題になり得ます。

属人化が生まれる構造的な原因

人手不足や高齢化が進む現場では業務が特定の担当者に集中しやすく、「この業務はこの人しか分からない」状態が生まれやすいと指摘されています(参照*1)。公益財団法人ソフトピアジャパンも、相談内容に応じた伴走型支援を取る一方で、仕事が標準化されず属人化していることを課題に挙げました(参照*4)。

BPMコンソーシアムは「業務改善をしていないから通常業務が忙しい」と指摘し、改善時間が確保できない構造を示しています(参照*5)。マニュアル不在、異動や退職、改善する時間の欠如が重なると、属人化は自然に進行します。原因を個人に帰さず、時間と仕組みの不足として捉え直すことが必要です。

Excel運用に潜むリスクの実態

Excel運用のリスクは、共有・共同編集・マクロ依存の3方向から具体的に現れます。

前述のNTTデータビジネスブレインズの調査(2026年7月3日〜4日、インターネット調査)では、Excel共有時の不便として「『読み取り専用』になり作業が中断する」が33.2%で最多でした。以下、「最新版がどれか分からなくなる」30.6%、「関数が入っているセルがわかりにくい」28.6%、「コピペで書式が崩れる」25.0%と続きました(参照*3)。

キーマンズネットの調査では、業務におけるExcelマクロの利用頻度は「時々使っている」が50.9%、「常に使っている」が18.8%で、マクロ依存が広く根付いている実態がうかがえます(参照*2)。

共有ファイル運用の不便とマクロ依存は、それぞれ別の調査で課題として表れています。共有方法やマクロの使い方によっては、共同編集時の作業中断と特定の担当者への依存が重なることもあるでしょう。頻発するトラブルを単発のミスとして片付けず、運用形態が一因になっていないかの確認が欠かせません。

Excel管理の困りごと

事業継続への影響

属人化は担当者個人の負担にとどまらず、事業継続に関わる経営課題になり得ます。同じ調査では、担当者不在で業務が回らない属人化を「時々感じる」が43.7%、「常に感じる」が8.6%で、合計52.3%と半数以上が属人化を実感していました(参照*3)。

キーマンズネットのナレッジ管理に関する2025年調査でも、「個人に知見が集まるため業務が属人化している」が52.7%、「ナレッジ蓄積がされておらず退職後の引継ぎや新人育成に手間がかかる」が47.3%、「ベテラン社員のノウハウが継承されない」が45.7%と、属人化と引き継ぎに関する回答が上位に並びました(参照*6)。

業務停止、品質低下、ノウハウ継承の失敗は、業務の重要性や代替要員の有無によっては経営レベルの影響につながります。属人化は個人課題ではなく、事業リスクの温床として位置づけて対策を検討する対象です。

脱エクセルで属人化を解消する4ステップ

属人化の解消は、業務の棚卸し、優先順位と手順の決定、判断基準の統一、不要業務の削減の順に進めると、担当者依存の業務を誰でも扱える形に整えられます。

ステップ1 業務の棚卸し

最初のステップは、現場業務を「誰が・いつ・何を・どのように行っているか」の視点で洗い出す棚卸しです。公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会によると、表に出ている業務だけでなく、ベテランの経験や勘に頼っている暗黙知も含めて可視化することが重要です(参照*1)。

住宅事業向けの支援事例では、顧客対応を「相談受付」「初回訪問」「概算見積」「最終見積」「契約前後」「着工から完工・引渡し」「完工・アフターフォロー」の7段階に分解し、担当者・使用ツール・入力項目・判断基準を整理する進め方が紹介されています(参照*7)。

段階ごとに担当者と入力項目を並べると、重複や抜け漏れが目に見える形で浮かび上がります。主要業務を数段階に区切り、暗黙知の所在を書き出すところが着手点です。

ステップ2 優先順位と最適手順の決定

棚卸しの次は、発生頻度と削減工数から優先順位を決め、手順を1つに絞り込みます。全国ビルメンテナンス協会は、全体削減効果を「発生頻度スコア×削減工数スコア」で算出する評価軸を示しました(参照*8)。

同協会は、複数のベテランスタッフのやり方を比較して最も効率的で安全性の高い手順を抽出し、「人によって違うやり方」をそのまま残さないことも推奨しています(参照*1)。住宅事業向けの支援事例でも、棚卸しで見えた重複入力、転記、情報検索、確認待ちを対象に削減の優先順位を定めました(参照*7)。

すべての業務を同時に最適化しようとすると力が分散し、成果が見えにくくなります。頻度と効果の掛け算で候補を絞り、上位から一つずつ手順を統一していく順序が現実的です。

ステップ3 判断基準の統一

判断基準の統一は、誰が担当しても同じ結果が出る状態を作る要です。全国ビルメンテナンス協会が例に挙げるのは、「どの洗剤を何回使うか」「どの状態になれば完了とするか」といった具体的な数値や条件の設定です。経験の浅いスタッフでも迷わず作業を進められ、全体の品質が底上げされます(参照*1)。

一般財団法人 機械システム振興協会は、条件セット自動化を目指す以上、テンプレートは人が見て分かるだけでなく機械が読み取れる形にする必要があるとしています(参照*9)。一方で現場からは、「属人的に蓄積された暗黙知の共有が進まない」「各部門でナレッジが別々に蓄積されている。適切に文書化や整理がなされていないナレッジが多い」といった声も挙がりました(参照*6)。

曖昧な言葉を数値や条件に置き換えると、担当者の裁量に頼らずに品質を保てます。現場の裁量を全て奪うのではなく、判断が分かれる箇所に絞って基準を設ける粒度が適切です。

ステップ4 不要業務の削減とスモールスタート

4つ目のステップは、やらないことを決め、小さく始めて改善を回すことです。全国ビルメンテナンス協会は、標準化では作業を揃えるだけでなく「やらないことを決める」ことも重要なポイントとし、不要な作業を思い切って削減・統合すれば、限られた人員をより付加価値の高い業務へ振り分けられるとしています(参照*1)。

BPMコンソーシアムは、全社的に一気に進めようとすると多くの労力が必要になるため、少しずつ実施して徐々に展開するスモールスタートを勧めています(参照*5)。全国ビルメンテナンス協会も、「このツールは、この作業の自動化にしか使わない」と目的を絞り込むことを成功の原則に挙げました(参照*8)。

完璧を目指すと着手が遅れ、属人化解消のタイミングを逃しがちです。最初から100点を狙わず、対象業務と目的を絞って動き出すことが優先です。

システム化についても同様で、最初からすべてのExcelを置き換える必要はありません。たとえば@pocketのようなノーコードツールで、まず一つの管理業務をアプリ化し、運用しながら対象を広げていく方法があります。

4ステップで属人化のない業務へ

ノーコードで進める業務標準化

4ステップで整理した業務は、ファイルではなくノーコードのデータベースで管理する形へ切り替えると、共有や検索がしやすくなり、現場自身が仕組みを見直せるようになります。

ファイル管理からデータベース管理への転換

NTTデータビジネスブレインズは前述の調査を踏まえ、改善の必要性を感じながらも着手できないジレンマを多くの担当者が抱えている今こそ、ファイルではなくデータベースとして業務を管理する仕組みへの転換を検討するタイミングだとしています(参照*3)。

ソフトピアジャパンも、文書ファイルが個別にファイルサーバーに保存され、内容を管理・検索できるデータベース化がされていないため、必要な情報の検索に手間と時間がかかっていると指摘しました(参照*4)。岐阜県内の中小企業支援でも、業務の可視化・標準化を通じて属人化を解消し、誰でも遂行できる体制を整えることが急務とされています(参照*10)。

検索と共有の頻度が高いファイル群から転換候補を選ぶと、着手しやすくなります。

Excelからデータベース管理へ移行する方法の一つが、ノーコード型のクラウドデータベースです。プログラミングの専門知識がなくても、これまでExcelで管理していた項目をもとに、業務に合わせたデータベースを構築できます。

クラウド型ノーコードデータベース「@pocket」も、こうしたExcel管理からの移行に活用できるサービスの一つです。 Excelで個別に管理していた情報をクラウド上に集約し、複数の担当者で共有・更新する業務アプリを作成できます。

ノーコード活用と現場主導の標準化

ノーコードは、現場担当者自身が業務フローを組み立てて修正できる点で、標準化と可視化に役立ちます。

ノーコードで直感的に操作できる設計に加え、生成AIによるボトルネック特定機能で属人化を解消する仕組みを備えたサービスも登場しました(参照*11)。「いつ・誰が・どういう手順で」作業したかを1つの画面で見える化し、Excelのバケツリレーや特定の個人しか知らないマクロ処理を撤廃して、誰でも業務を遂行・引き継ぎできる環境を構築するサービスもあります(参照*12)。

ほかにも、プログラミング知識がなくても業務データベースを構築できる設計、外部の取引先や関係者と必要な範囲だけ情報を共有できるゲストユーザー機能、業務の背景や経緯を残せるストーリー機能によるAIプロンプト検索など、属人化した業務を誰でも分かる形に変える機能が紹介されています(参照*3)。

現場が自ら手を動かせる環境は、標準化を「押し付けられるルール」ではなく、使いながら見直せる仕組みに変えるものです。

現場主導の業務改善に使えるノーコードツール『@pocket』

@pocketは、プログラミングの専門知識がなくても、業務に合わせたデータベース・業務アプリを作成できるクラウドサービスです。

項目を配置してアプリを作成できるため、「顧客管理」「案件管理」「日報」「問い合わせ管理」など、これまでExcelで管理していた業務を必要なところから段階的に置き換えることができます。

また、一つの業務から始め、運用しながら項目やアプリを見直していけるため、本記事で紹介した「スモールスタート」とも相性のよい方法です。

→ @pocketの機能を詳しく見る

導入事例と得られた効果

公的機関と企業では、ノーコード活用による属人化解消に向けた取り組みが進んでいます。ソフトピアジャパンは、財団職員が支援先でも閲覧しやすく、保守拡張しやすいクラウド環境としてkintoneを用いた構築を計画しました(参照*4)。

機械システム振興協会のフォーラムに参加した燕地域の金属加工企業では、属人化から脱却し、社員が自律的に業務を進められるデジタルツールを活用したいという目標が示されました(参照*9)。精密機械・化学メーカーなど大手企業4社で先行導入・トライアルが始まり、Excelやマクロ、RPAに分散した業務の「見える化」と属人性の解消に向けた効果実証が進んでいるサービスもあります(参照*12)。

事例はいずれも対象業務と条件が異なるため、成果をそのまま自社に当てはめることはできません。事例の前提条件を確認しつつ、自社の業務規模や体制に合う要素を抽出する姿勢が求められます。

失敗しない運用と定着のコツ

導入後に形骸化させないためには、60点スタートと改善の積み重ね、そして判断を人に残す設計が要になります。

全国ビルメンテナンス協会は、いきなり100点の運用を目指すのではなく、60点程度の運用を目指すスモールスタートが効果的としています(参照*1)。住宅事業向けの支援事例でも、設定や操作説明で終えるのではなく、業務に定着するまで改善を重ねる姿勢が示されました(参照*7)。BPMコンソーシアムも、BPMは長期の活動であり、短期間で何かを一気に解決する手法ではないとしています(参照*5)。

運用の定着では、人の判断を残す設計も欠かせません。機械システム振興協会は、AIエージェントの高い処理能力に依存する結果、本来は人が担うべき重要な意思決定まで委ねてしまうおそれがあると指摘しています(参照*13)。

仕組みで揃える部分と人の判断を残す部分を最初に線引きしておくと、現場のフィードバックを反映しながら無理なくマニュアルを更新できます。導入で終わりにせず、改善を重ねる前提で運用計画を組むことが定着への近道です。

おわりに

脱エクセルで属人化を解消するには、業務の棚卸し、優先順位付け、判断基準の統一、不要業務の削減という4ステップを踏み、ノーコードのデータベースへ順次移していく流れが現実的です。特定の担当者しか扱えないマクロや、最新版が分からなくなる共有ファイルは、置き換え候補の上位に挙がります。

まずは頻度と効果の高い一業務を選び、60点スタートで小さく試すところからです。改善を重ねながら仕組みで揃える部分と人の判断を残す部分を切り分けていけば、業務標準化と引き継ぎ負担の軽減は着実に進みます。

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